「白砂青松」再生に難敵、松原で雑草繁茂が深刻に/陸前高田(別写真あり)
平成30年9月11日付 1面

東日本大震災の発生から、11日で7年6カ月が経過する。被災地の復興が着実に進む中、陸前高田市では「白砂青松」の名勝・高田松原を再生するための植樹活動において雑草の繁茂が想定以上に深刻となっており、NPO法人高田松原を守る会(鈴木善久理事長)がボランティアらの手を借りて毎週草刈りを行っている。同会は活動に対する地元での関心の低さを指摘し、「市民にもこの状況を知ってほしい」としている。
大震災から7年半経過
大津波で約7万本のマツが失われた高田松原の景観と、防風・防潮林としての機能を取り戻すための植樹活動は平成29年春にスタートした。本年度は同会が3500本、県が1万1000本をそれぞれ植樹。数十年がかりとみられる再生事業は、地道ながらも着実に進められている。
しかし、現地では植樹初年度の昨夏から雑草の繁茂が目立ち、関係者を悩ませている。つる性の植物がマツ苗にからみついたり、背の高い雑草が日光をさえぎることで、マツの枝枯れが危惧される状況にあるからだ。
場所によっては大人の腰の高さまで雑草が伸び、苗が覆い隠されている。養浜のため盛られた砂にも植物の種子が交ざっていたとみられ、予測以上にさまざまな草が生い茂る状態となっている。
植樹本数が増えるほど、刈り払いが必要な範囲も広がる。同会は今年も6月から毎週、市外から訪れるボランティアの手を借りて雑草の除去作業を行っているが、繁茂のスピードにはとても追いつかない状態だ。
同会副理事長の小山芳弘さん(67)は、「(小友町の)箱根山から松原を望むと、浜辺が緑色に染まっているように見えるため『マツが順調に生育しているね』といわれるが、実はほとんどが雑草」と、市民が普段立ち入ることができない〝防潮堤の向こう側〟の現状を訴える。
小山さんは「高田松原は『守る会』のものではなく、市民みんなのもの。防潮堤の内側を直接見てもらいながら、この先どんな松原になっていくのかも夢見てほしい」と語る。
地元の小中学校などが学習の一環で松原を訪れることもあり、「草を刈ったり取ったりという以前に、まずはそういう機会をとらえて現状を知ってもらいたい」と小山さん。町内会や部活動単位でのボランティア参加など、市民の関心が高まることに期待を寄せる。
草刈り作業は、毎週日曜日に実施されている。問い合わせは小山さん(℡080・5570・4128)まで。