魅力伝えて20年目、慶應大のアカペラグループ・デモクラッツがコンサート/気仙両市(動画、別写真あり)

▲ 活動20年目を迎えたデモクラッツ。各地できれいなハーモニーを披露した=矢作町

 慶應義塾大学の学生でつくるアカペラグループ「デモクラッツ」は10、11の両日、気仙両市の各地でコンサートを開いた。平成11年から気仙でアカペラの魅力を伝え続け、今年で20年目。きれいなハーモニーと息の合ったパフォーマンスで、幅広い世代に笑顔を届けた。

 

 デモクラッツは、慶應大のサークル「アカペラシンガーズK.O.E.」のメンバーで構成。今年は3年生4人、2年生3人の計7人が10日に陸前高田市内の4カ所、11日に大船渡市内の5カ所を訪れた。
 訪問先は、保育園や小中学校、介護施設など聞き手の年齢層も幅広い。学生たちは春から練習を重ね、夏休み中は1日4〜5時間の練習を20回ほど行い、レパートリーを充実させた。
 矢作町の下矢作保育園では、園児や父母ら約20人を前に歌声を披露。ジブリ映画のテーマ曲など3曲を、軽快な振り付けとともに生き生きと歌い上げた。
 メンバーの戸倉慶亮さん(総合政策学部2年)は「真剣に聞いてくれる住民を前にすると気持ちが入り、納得のいく歌を届けられた気がした。そんな経験は今回が初めて」と感激していた。
 これまで活動に参加した学生は74人。毎年、コーディネート役を担う高田町の吉田和子さん(64)は、今年も2日間学生たちに同行した。
 かつては吉田さんら地元有志でつくる「デモクラッツ母の会」が活動費を全額負担したり、自宅に学生を泊めるなどサポートの一切を引き受け、高田町の旧市民会館で約400人の観客を招いてコンサートも開いた。現在は、OB・OGからの寄付のほか、学生たちがクラウドファンディングで資金を集めるなどして活動を継続している。
 吉田さんは「ライフワークのようになっていて、あっという間に20年目となったような感覚。数え切れないほど大切な思い出がある」と振り返り、「短い滞在だが、学生はこの気仙で大学とはまた違う経験をして成長する。その変化を間近で見られるのが何よりの喜びだった」と気仙の〝母〟の一面をのぞかせる。
 今回のグループリーダーを務めた赤坂魁さん(環境情報学部3年)は「長く続く活動に携われて感慨深いし、心の温かな人ばかりで、今回も逆に元気をもらった。後輩たちにも活動を続けていってほしい」と話していた。