自作チラシで民泊PR、神奈川大の加藤さん/陸前高田

▲ 手描きのチラシで民泊をPRしている加藤さん=高田町

 陸前高田市の一般社団法人マルゴト陸前高田(大久保光男代表理事)で14日まで、神奈川大学2年の加藤美紀さん(19)が夏休みを利用したインターンシップを行っている。期間中は同法人の民泊事業に携わり、得意な絵を生かして民泊をPRするチラシを自作。主に竹駒町内の家々を回り、チラシを手渡しながら民泊の魅力を伝え、受け入れ家庭を一軒でも増やそうと奔走中だ。

 

 マルゴトのインターンで

 

 大学では主に地域経営について学んでいる加藤さん。3年から始まるゼミでも地域経営を専攻したいと考え、該当するゼミの前提となる授業を受講した。
 この授業の中で、加藤さんは地元・神奈川県平塚市の個人商店と連携してPRシートを作成。授業を通して「輝いている人がいて、活気のある平塚市が好きなんだ」という自分の思いに気付いたという。
 「平塚市の魅力をもっと伝えたい。地元と外部の〝つなぎ役〟になりたい」と考えた加藤さんは、民泊事業を通して陸前高田の魅力を広く伝えているマルゴト陸前高田に注目。〝つなぎ役〟の第一線で働いている人々を間近で見ようと、同法人へのインターンを希望した。
 加藤さんのインターンは、8月16日から1カ月間の日程でスタート。民泊の受け入れ家庭が少ない竹駒町を担当し、一軒でも協力してくれる家庭を増やそうと、得意な絵を生かした手描きのチラシを配って回った。
 チラシは、民泊をより深く知ってもらうためのものと、民泊を初めて知る人のためのものの2種類を作成。イラストを多用し、字も大きめに書いたうえで、1項目を1ページに収めるよう工夫を凝らし、見る人にとって分かりやすいチラシを目指した。
 このうち、実際に受け入れ家庭にインタビューするなどしてまとめた「お悩み解決掲示板」は、「食事の準備時間をつくるのが大変」といった声を紹介。これに対し、「お風呂の時間にご飯をつくる」「一緒にご飯をつくる、手伝ってもらう」など具体的な解決方法を、かわいらしいイラスト付きで説明している。
 最後のページには、「自分たちの当たり前は本当はぜいたくだったんだと気付いた」といった受け入れ家庭からのコメントや、マルゴト陸前高田のスタッフたちの民泊にかける思いを掲載した。
 9月12日までの時点で、37軒を回ったという加藤さん。そのうち20軒で「応援している」「頑張ってね」といった激励の言葉をかけられ、1軒が新規に受け入れ家庭となり、2軒から前向きに検討する旨の回答をもらうことができた。
 こうした体験を通し、「私はよそ者で、家にもいきなり訪ねている。それなのに、声をかけたらすごく優しく対応してくれて、陸前高田の人は温かいと思った。『田舎は温かい人が多い』と言うけれど、言われるのと実際に体験するとでは違う。民泊に参加することで、こうした体験をする人がもっと増えてほしい」との思いを強くしたという。
 加藤さんは12~14日まで、〝ラストスパート〟として新たにチラシ100枚を配ろうと意気込む。商品をPRする手描き色紙を贈った市内の産直や個人店舗などに計50枚を置かせてもらい、竹駒町内の家々に40枚、活動中に生まれたつながりを生かして10枚をそれぞれ手渡しする予定だ。
 マルゴト陸前高田では9~10月にかけて、修学旅行による3件の民泊を企画。このうち、10月16日(火)からの神奈川県立新栄高校は、360人が2連泊する予定で、受け入れ家庭を広く募集している。
 問い合わせはマルゴト陸前高田(℡22・7410、担当・古谷さん)へ。