新人・現職による決戦濃厚、告示まで2カ月/大船渡市長選
平成30年9月16日付 1面
11月18日(日)の大船渡市長選告示まで、残り2カ月と迫った。現在、立候補を予定しているのは、表明順に新人で元参議院議員の藤原良信氏(67)=日頃市町・無所属=と、現職で3期目を目指す戸田公明氏(69)=猪川町・同。この2人のほかに出馬の動きはみられず、新人と現職による決戦の構図が濃厚となっている。両氏の後援会では組織体制を整え、支持拡大に向けた動きを加速させるなど、前哨戦が活発化している。
前哨戦いよいよ活発化、支持拡大への動き加速

戸田公明氏

藤原良信氏
12月2日(日)の任期満了に伴う市長選は、昭和27年の市制施行から数えると通算19回目、三陸町との合併後は5回目、東日本大震災後は2回目。11月18日告示、同25日(日)投票の日程で行われる。
新人の藤原氏は衆議院議員秘書を経て、昭和62年の県議選から連続5期当選を果たし、平成15~17年には議長を務めた。19年の参院選に、民主党公認で比例区へ出馬して初当選。25年の参院選では、生活の党から再選を目指したが落選した。
今年2月、「今まで築いた国、県との関係を生かし、地域発展を図っていきたい」として、正式に今市長選への立候補を表明。「子どもたちに確かな未来を残すために、大船渡のグランドデザイン(将来展望)をしっかり作りたい」と、国際リニアコライダー(ILC)の機材の荷揚げ港の確保と活用や、総合運動公園の整備、命を守る防災体制の検証などを政策に掲げる。
同氏後援会(宮澤信平会長)では組織の再構築を図り、市内19地域への支部と同氏を推薦した事業所で構成する企業連合会(11部会)を設置。市内で「懇談会」を開催して政策を訴え、県議時代からの支持層を固めるとともに、産業界を軸に新たな層にも浸透を図っている。
現職の戸田氏は、大手建設会社を辞して18年の市長選に立候補するも、現職との一騎打ちに敗れた。再び臨んだ22年の市長選では、新人同士による三つどもえを制し、1万1531票を獲得して初当選。26年の前回選では新人候補に2662票差をつけ、1万2062票で再選を果たした。
今年2月に3選への起意を示し、5月には「復興の総仕上げと、持続可能なまちづくりを進めたい」と正式に出馬を表明。「復興を32年度までの計画期間内に終わらせて諸施策を推進し、将来世代に豊かで安心安全な大船渡を引き渡したい」と、まち・ひと・しごと創生総合戦略の推進、保育園・幼稚園・認定こども園の無償化、被災跡地等への企業誘致などの政策を打ち出す。
同氏後援会(水野公正会長)では支部組織体制を再構築し、市内に15支部を設けた。今月8日には事務所開きを行って前哨戦を本格化させるとともに、市内で「語る会」を開いて現職としての実績を示しながら、新たな支持層の掘り起こしにも力を入れる。
政党の動きをみると、国民民主県連が戸田氏を推薦し、自民大船渡市支部は藤原氏の支援を決めた。公明、共産は現時点で態度を明確にしていない。
現段階で、この2人のほかに立候補に向けた動きはみられず、新人と現職による一騎打ちが濃厚視されている。この決戦を見据え、両氏後援会による前哨戦は今後、一層勢いを増すものとみられる。
今市長選は、震災から7年8カ月を経過する中で行われる。次の任期4年を託されるリーダーには、途上段階にある復興事業を着実に進め、人口減少や少子高齢化といった地域課題、復興需要収束後の地域経済の動向なども重視しながら復興後の大船渡を発展へと導ける力が求められる。
また、市長選としては選挙権年齢が18歳に引き下げられて初めての実施となる。選挙戦まで2カ月に迫る中、活発化する前哨戦を通じていかに有権者の注目、関心を集め、若年層や無党派、浮動層への支持拡大を図れるかもカギとなりそうだ。
9月3日現在の有権者数は、3万1832人(男1万5147人、女1万6685人)。前回選投票時の3万2418人(20歳以上)と比べて586人少ない。