訪看事業開始へ予算計上、町議会9月定例会閉会/住田

▲ 15日間にわたる9月定例会が終了=住田町議会

 住田町議会9月定例会は18日、最終本会議が開かれた。11~13日に行われた決算審査特別委員会(委員長・菅野浩正議員、議長を除く全11議員で構成)での審議をふまえ、平成29年度一般会計や各種特別会計の各決算を認定。医療資源不足を補う訪問看護ステーションを年度内に開設するための補助金などを盛り込んだ本年度一般会計補正予算も可決した。看護師の拠点は町保健福祉センター内に設け、今後アンケート調査などを行いながらサービス需要の洗い出しなどを進め、高齢者らの在宅などを支える事業展開を見据える。

 

医療資源不足の補完へ 、年度内の開設目指す

 

 この日は12議員全員が出席。議案のうち、本年度の一般会計補正予算は歳入歳出に6064万円を追加し、総額はそれぞれ48億5628万円となる。
 歳出のうち、保健医療介護連携体制構築事業費補助金として1700万円を計上。町の課題である医療資源不足を補完する訪問看護ステーション立ち上げに向けた経費となる。
 町内では一昨年、昨年と民間医科診療所の閉院が相次いだ。医科診療機関は、世田米の県立大船渡病院附属住田地域診療センターのみとなっている。
 町は昨年12月、町内に事務所を構え、気仙を主な対象とした地域医療・介護連携ICT(情報通信技術)システム「未来かなえネット」を運営する一般社団法人未来かなえ機構に医療環境整備策として訪問看護事業の検討を要請。今年に入り、同法人が中心となって、医療や看護、福祉分野に詳しい専門家を交え協議を重ねてきた。
 開設後の運営も、同法人が主体を担う。町の説明によると、訪問看護ステーションは、町保健福祉センター内に設置する方向で調整。職員5人体制のうち4人が看護師で、今後採用を進める。
 近くアンケート調査を行う予定で、利用者の動向や、必要としているサービス内容の洗い出しを進める。事業には医師らとの連携も欠かせない中、関係機関との打ち合わせにも回る計画。町では11月ごろに準備室を立ち上げ、順調に準備が進めば来年2月に開設したいとしている。
 議案審議ではこのほか特別職の給与・旅費・費用弁償と町営住宅設置・管理に関する両条例の一部改正に加え、国民健康保険、簡易水道事業、下水道事業、介護保険、後期高齢者の各特別会計補正予算も原案通り可決。世田米小・中通学用スクールバスの更新、世田米・馬洗橋補修工事の請負契約案件も議決した。
 教育長の選任では、これまで務めてきた菊池宏氏(65)=下有住=の再任に同意。任期は10月1日から3年間となる。平成27年度の改正法施行に伴う新教育委員制度に基づき、町では今回初めて議会から同意を得た。
 固定資産評価審査委員会委員には、新たに金野孝氏(61)=下有住=を選任する。任期は平成32年6月末まで。
 今定例会では、一般会計決算と国民健康保険、簡易水道事業、下水道事業、介護保険、後期高齢者医療の各特別会計決算審議を決算委員会に付託。この日の本会議では、菅野委員長が、すべて原案通り認定すると結論づけた審査結果を報告した。
 引き続き、村上薫議員が13日の特別委員会採決時と同様、一般会計について木工団地に対する融資金回収問題などを取り上げたうえで、反対討論を展開。瀧本正德議員は、人口減少社会などを見据えた施策全般が順調に進んでいるとの立場から、賛成討論を行った。
 採決の結果、議長を除く11議員中、一般会計は7議員が認定に賛成。特別会計は討論がなく、全会一致での認定となった。