沿岸住宅地は3年連続下落、住宅再建の進ちょくも背景/30年度地価

 県は、平成30年度地価調査結果の概要を公表した。東日本大震災で被災した気仙両市を含む沿岸市町村では、災害公営住宅や防災集団移転促進事業など復興事業が進ちょく。これに伴って被災地の移転需要が落ち着きをみせているほか、少子高齢化や人口減少によって土地需要も低迷しており、3年連続で住宅地の地価が下落した。


 地価調査は地価公示とともに、一般の土地取り引きなどの指標となるもの。適正な地価形成のために行われており、県が不動産鑑定士の鑑定評価に基づき、基準地の正常価格を判定している。価格時点は7月1日。
 県内の調査対象は、33市町村の基準地374地点(宅地・宅地見込地344地点、林地30地点)。気仙3市町は大船渡市が13地点(同12地点、同1地点)、陸前高田市が6地点(同5地点、同1地点)、住田町が6地点(同5地点、同1地点)の計25地点となっている。
 気仙3市町の用途別平均価格(宅地・宅地見込地1平方㍍、林地10㌃当たり)と平均変動率(▲はマイナス)をみると、大船渡市は住宅地2万3000円、平均変動率▲1・4%、商業地5万1700円、同▲0・2%、工業地1万5400円、同2・0%、林地は3万5000円、同0・0%。
 商業地は上昇から下降に転じ、工業地は前年から上昇幅が2・9ポイント縮小。住宅地は前年度から下降幅が0・1ポイント拡大し、3年連続で下落した。
 陸前高田市の住宅地は、平均価格が1万3200円。平均変動率▲2・1%と2年連続の下落で、前年度から下降幅が0・1ポイント拡大した。林地は2万8500円で、変動率は前年度と同じ▲1・7%。
 住田町は住宅地8900円、同▲1・6%、商業地1万7600円、同▲2・2%と下落が続く。林地は3万8400円で、横ばいから下落に転じた。
 県内住宅地の変動率上位に気仙の地点はなかった。一方、商業地では大船渡市の「大船渡町字明神前3の19」が同0・4%で、前年度の1位から順位を落としたものの3位となった。既存商店街が被災した同市において、土地区画整理事業の進ちょくに伴い商環境が改善し、地価が上昇している。
 県全体の動向をみると、住宅地の平均価格は2万4800円。平均変動率は▲1・2%と18年連続の下落となった。交通利便性や住環境が良好な地域における住宅需要は旺盛で地価は上昇しているが、少子高齢化や人口減少などが進む地域では土地需要が低迷し地価が下落。県内で上昇したのは38地点で、いずれも内陸部だった。
 商業地の平均価格は4万4900円。平均変動率は▲2・0%で25年連続の下落となったが下落幅は縮小している。中心市街地の商店街の空洞化などの影響により土地需要が低迷し地価が下落した。
 工業地は、平均価格1万2300円で同▲0・4%と20年連続の下落となったが、大船渡市盛町字二本枠14番8は同2・0で、県内14地点中唯一、価格が上昇した。
 林地の平均価格は4万2400円で平均変動率は▲0・7%。国産材市況の長期低迷や林業就業者の後継者不足などにより24年連続の下落となっているが、下落幅は縮小している。
 気仙地区の地価(基準値)は別表の通り。