住田町・木工2事業体債権回収問題/「対策チーム」発足へ、当局・議会一体で解決策探る

▲ 三木、ランバー両事業体などが操業する木工団地=世田米

 住田町は、世田米の木工団地で操業している三陸木材高次加工協同組合(三木)と協同組合さんりくランバー(ランバー)の債権回収問題を巡り、早期解決を目指す「対策チーム」を近く立ち上げる。両事業体と連帯保証人に支払いを求めた調停が不成立に終わった中、事業存続と融資金の回収の両立に向けた「次の手段」を探る。チームには議員数人もメンバーに入るなど、当局と議会が一体となって解決策を探る新たな展開の行方が注目される。

 

 18日に行われた町議会9月定例会最終本会議後、神田謙一町長の申し出を受け、当局と議員による協議が議員控室で非公開で行われた。
 出席者らによると、神田町長は対策チームを立ち上げる考えを示したうえで、議員と意見交換。目立った異論は出ず、議員数人もメンバーに入る方針を確認した。
 議員の人選は議会側に委ね、当局と議会が一体となって「次の手段」を探る。債権をどの程度回収できるかや、ともに木工団地を形成するけせんプレカット事業協同組合との一体経営のあり方、木工団地内で働く従業員の雇用を守りながらの解決策などを念頭に検討し、回収可能な金額も分析するとみられる。
 協議終了後、神田町長は「議会と一体となって解決策を決めるべき問題。両事業体の事業存続に向け、どのような手段をとるべきか考えていきたい」と話した。
 この日の協議では、過去に融資や経営にかかわった関係者への意見聴取を求める声も。議員の一人は「次世代の木材加工産業にも影響を与えない形をみいだしていくことができれば」と語った。
 町は昨年11月、三木、ランバー両事業体や連帯保証人を相手に、融資残額や町有林原木未納額計10億円超の支払いを求める調停を大船渡簡易裁判所に申し立てた。しかし、町と事業体・連帯保証人との間で折り合いがつかぬまま推移し、裁判所側が先月、双方に手続き打ち切りの旨を告げた。
 調停不成立を受け、町当局は先月12日の全員協議会で、一連の経過を説明。さらに、今月4日の定例会本会議冒頭の行政報告の中で、神田町長は「今後については町ができること、事業体ができることを整理していきたい」との姿勢を示した。
 4、5日の一般質問や11〜13日の決算審査特別委員会でも、この問題を巡って論戦。当局側は現時点で考えられる手段として訴訟や債権放棄、両事業体の操業を見守っていく現状維持があるとし、事業体側の対応としては法的整理、私的整理などに言及した。
 議員からは、保証人らと調整ができていない点や、債権放棄・圧縮となった場合は多額の免除益税によって両事業体の経営を圧迫する懸念を挙げ、当局の見通しの甘さを追及する発言も。一方で、どう債権回収を図るかなど、対応策では深い議論に至らなかった。
 今後は、住民が納得できる方向性を見いだし、両事業体の経営陣や連帯保証人らと協調体制を築くことができるかが焦点となる。当局ではチーム立ち上げ後は一定期間をかけ、次の対応策につながる検討を進めることにしている。