老朽化に伴い応急処置、箱根山のローラーすべり台が252㍍→41・5㍍に/陸前高田(別写真あり)
平成30年9月22日付 7面

陸前高田市小友町の箱根山「市民の森」のアスレチックコースにある全長252㍍のローラーすべり台は、老朽化などに伴い昨年10月から使用禁止措置がとられている。市は安全基準をクリアした〝区間〟で一部改修を行ったが、そのほかは基礎からの抜本的な工事が必要で、全区間の利用再開のめどは立たない状態だ。
30年ほど前には〝長さ日本一〟だった市民の森のローラーすべり台。日本一の座を明け渡したあとも、地元の人たちに愛され続けてきた。休日には市外からの利用者も見られ、同市で平成28年度に「民泊」事業が始まってからは、修学旅行で訪れる生徒たちにも好評を博していた。
しかし、長年の使用によって土砂が少しずつ崩れるなどして基礎が傾き、滑面にゆがみが生じるようになった。市が昨年、使用禁止措置をとった上で調査を実施したところ、下から約50㍍までの区間は安全基準を満たしていることが分かり、使える部分だけ切断。新たにすべり口の階段を設けるなどの応急処置を施し、今年6月から利用を再開した。
現在、使用可能なすべり台の全長は41・5㍍で、元の長さの6分の1程度。市民の森にある気仙大工左官伝承館はすべり台専用マットを300円で貸し出してきたが、これを100円に改め、対応している。しかし、観光案内サイトなどでは252㍍の表記のままとなっており、使用禁止区間についても説明がないため、伝承館では遠方からの来客にクレームを受けることもあるという。
同館スタッフは、「昔ここで遊んだ人たちが大きくなり、子どもを連れてやってくることがある。楽しみにして来られた皆さんに状況を説明するとがっかりして帰っていかれるので、とても申し訳ない」と語る。
市は近日中に観光案内サイト「高田旅ナビ」などの内容修正を図るとともに、市民の森にある「日本一の滑台 252m」と書かれた看板を撤去することを決めた。
一方、保守点検にあたる業者からは「使用を禁止している部分は修繕などで対処できる状態ではない」と説明を受けた。仮に撤去・再設置となれば数千万円単位の費用がかかる見通しという。
市は「応急的な措置であることは認識している。今後は、市民の森に設置されているほかの遊具を含めた全体の方向性を考えていきたい」としている。