管理や活用に高評価、FSC森林認証の更新審査/住田町
平成30年9月23日付 2面
FSC森林認証を受けている住田町認証グループ(気仙地方森林組合、町)に対する更新審査は19〜21日、町内で行われた。認証機関の関係者が現地視察や聞き取り調査などを行い、基準に合う森林保全や木材生産を行っているかなどを確認。審査員からは管理に加え、木造での公共施設整備など活用面でも高評価が寄せられた。
非営利組織のFSC(森林管理協議会、本部・ドイツ)は、平成5年に誕生。森林が環境、経済、社会の持続的な発展に向けて適切に管理されていることを国際的に証明する制度を設けた。同町の森林認証グループは同16年3月に取得した。
町内森林面積約3万㌶のうち、現在の対象面積は1万3963㌶で、町有林が8753㌶を占める。人工林率は51%。人工林の樹種別割合はスギが30%で最も多く、以下アカマツ15%、カラマツ7%となっている。
認証を受けると、森林管理を適切に進めているか年次監査を受けなければならないほか、5年ごとに認証更新に向けた審査もある。更新審査は、年次監査よりも日数が長く、より細かく基準に適合しているかの確認が行われる。
今回は審査員を務める英国のクライブ・トーマスさんが訪れ、審査内容をチェックする国内提携機関の関係者も同行。19、20日は町内で森林所有者の聞き取りや施業現場の調査が行われた。
最終日の21日は、気仙地方森林組合会議室での書類チェックに続き、クライブさんが審査内容をもとに講評。良好な状態で森林が管理されているとし、700以上ある確認事項には、ほぼ適合していると報告した。
さらに「森林が地域の文化とも密接につながっており、活用する側としても木造の役場庁舎や消防分署整備など、世界的にみても珍しい取り組みをしている」と評価した。
一方、改善が求められる分野として、森林現場施業時における安全確保の責任をさらに明確化する重要性に言及。害虫防除でも、必要性などを的確に把握するよう求めた。
認証材を巡っては、東京五輪・パラリンピックの関連施設整備に向け、認知向上や、生産材の需要拡大の動きが広がりつつある。一方で以前から、認証を受けてもすぐに単価やブランド力には反映されにくいといった指摘も根強い。
審査を終えた気仙地方森林組合の枛木澤光毅組合長は「今後は住田だけでなく、気仙全体にも認証を広げていくことが大事になるのでは。きちんと管理されている山から産出された木材という証しであり、住宅建築での認証材使用に対する補助金など、もっと活用時にメリットが生まれる行政機関による制度も出てきてほしい」と語り、期待を込めていた。