雨の中でも熱烈歓迎、1年ぶり「飛鳥Ⅱ」入港/大船渡(動画、別写真あり)
平成30年9月26日付 7面

郵船クルーズ㈱(本社・神奈川県横浜市)が運行する国内最大の客船「飛鳥Ⅱ」(堤義晴船長、5万142㌧)は25日、大船渡市の大船渡港野々田ふ頭に入港した。1年ぶり15回目の寄港で、乗客と乗務員約1100人が大船渡を訪問。あいにくの雨に見舞われたが、多くの市民らが熱烈に歓迎し、大船渡の魅力を発信しながら心を込めてもてなした。
地域の魅力を発信、心を込めてもてなす
飛鳥Ⅱは全長241㍍、全幅29・6㍍。平成28年度に、第1号となる同市の「おおふなと特別観光大使」に委嘱されている。
今回は、横浜発着で名古屋や広島、金沢などを巡る最大11泊12日の自社クルーズ「秋の日本三景クルーズ」の一環で寄港。先代の「飛鳥」から数えると、大船渡訪問は33回目となる。
飛鳥Ⅱはこの日、雨模様の中、午前8時前に野々田ふ頭に接岸。ふ頭では、市民ら約100人が出迎えた。オープニングアトラクションでは、綾里大権現保存会が勇壮な綾里大権現の舞を披露し、1年ぶりの入港を歓迎した。
続いて、大船渡商工会議所女性会が太鼓を演奏。威勢のいいかけ声とともに太鼓の音を響かせ、デッキから見物していた乗船客らから大きな拍手が送られた。
雨天のため、入港歓迎セレモニーは会場を船内に移して開催。関係者らが出席し、戸田公明市長が歓迎のあいさつを述べたほか、花束や寄港記念品の贈呈が行われ、堤船長は心温まる大船渡のもてなしに感謝の意を示した。
ふ頭では、観光案内所や特産品販売コーナーなどが設けられ、乗船客らが土産品を購入。市内の観光地や復興の様子を尋ね、シャトルバスで大船渡観光に繰り出す人の姿もみられた。
飛鳥Ⅱで大船渡を訪れたのは昨年に続いて2回目という森本正さん(70)=神奈川県川崎市=は、「昨年はオプショナルツアーで猊鼻渓に行ったが、今年は碁石海岸を観光したい。あいにくの雨でがっかりだが、雨なりに楽しみ、復興の様子も見ていければ」と話していた。
午後には、船内見学会が開かれ、抽選で選ばれた市民ら約70人が大型客船の内部を見て回った。乗船客と乗務員向けに、旬のサンマを炭火焼きやすり身汁にして振る舞うコーナーも好評を博した。
夕方の寄港御礼アトラクションは雨のため、当初の予定を一部変更。旅の無事を願い、綾里大権現の舞が繰り広げられた。
その後、色とりどりの紙テープが舞う中、飛鳥Ⅱは次の寄港地・仙台へと出港。市民らは「また来てね」と何度も手を振りながら見送っていた。