「1000年に1度」どう備える、県が気仙川と大股川の洪水浸水想定公表

▲ 洪水浸水想定区域図に目を通す参加者=住田町役場

 県による気仙川・大股川洪水浸水想定区域指定に関する説明会は25日夜から、住田町内で始まった。近年、水害の激甚化が危惧される中、想定できる最大規模として「1000年に1度」の豪雨を想定した洪水浸水区域図を公表。これまで警報発令時などに避難所となっていた住田町役場が3~5㍍の高さで浸水が予想されるなど、防災体制の抜本的な見直しが不可欠な内容となっている。町内での説明会は、10月1日(月)まで各地で行われる。

 

住田で住民説明会始まる

 

 洪水浸水想定区域は、洪水時の円滑かつ迅速な避難を確保するとともに、被害軽減を図ろうと、河川氾らんが想定される区域や浸水の深さなどを示したもの。近年、全国的に局地的な豪雨が頻発し、水害の激甚化が危惧されている。
 平成27年に水防法が改正されたことなどを受け、県では想定できる最大規模の降雨を対象とした区域図公表に向け作業を進めてきた。県では町などとともに区域図を住民らに示し、今後の防災体制充実につなげてもらおうと、町内各地区を回る説明会を企画した。
 初回は住田町役場で行われ、世田米地区の住民ら約20人が出席。県県土整備部河川課の松本健司主任が説明に立った。
 説明によると、区域図策定にあたっては、想定最大規模「1000年に1度」として、気仙川・大股川に流域平均で2日間で589㍉の降雨があったと設定。流域全体での降雨を想定しているため、河川氾らんによる大きな被害が生じるとしている。これまで治水対策計画などの中で示されていた「70年に1度」規模の降雨は、2日間で267㍉だった。
 区域図によると、公共施設が集中する世田米の中心部では、国道107号バイパスから気仙川の間に位置する川向地内や世田米商店街のほぼ全域で浸水の想定。「70年に1度」では浸水域外だった町役場付近も、浸水の深さは3~5㍍に達する。このほか浸水継続時間や洪水時の「家屋倒壊等氾濫想定区域」に関する説明も行われた。
 会場には、各地域別の浸水想定区域図をまとめたファイルが置かれ、訪れた住民らは、自宅がある場所などを入念に確認。これまで浸水の可能性が低いとされていた場所も範囲に含まれており、真剣な表情を見せていた。
 説明会に訪れた世田米の菊池誠一さん(56)は「予想以上の想定で、どこにも逃げようがないのではと思ったほどだった。どう避難すべきかを、これから考えなければ」と話していた。
 町内での説明会は26日も、五葉地区公民館で開催。27日は大股地区公民館、28日(金)は上有住地区公民館、10月1日(月)は下有住地区公民館でそれぞれ午後7時から行われる。説明内容はほぼ同じで、誰でも参加できる。
 県は10月以降、住田町と同じく気仙川流域である陸前高田市でも説明会を開催する方針。その後、ホームページで区域図などの公表を始める。