中心市街地に活気生む、3店舗が営業スタート/「おおふなと夢横丁」開業(別写真あり)

▲ おおふなと夢横丁がオープンし、「天使の森」ではテープカットで開業を祝福=大船渡町

 大船渡市大船渡町のおおふなと夢商店街隣に整備された新商業施設「おおふなと夢横丁」は1日、開業した。東日本大震災後に仮設店舗などで営業していた市内の飲食店などが入居し、同日は3店舗がオープン。各店には本設での新スタートを祝う常連客や市民らが足を運び、活気が生まれた。夢横丁では今後、11日(木)までに8店舗がオープンし、最終的には10店舗が入居を予定。新中心市街地のにぎわい醸成につながることが期待される。

 

10店舗が入居予定

 

 夢横丁は、大船渡駅周辺地区のJR大船渡線海側に位置する津波復興拠点整備事業区域(約10・4㌶)内に整備。当初は隣接する夢商店街とともに整備、オープンする計画だったが、入居店舗の調整に時間を要したことから今年3月末に着工し、このたび完成した。
 10店舗が入居可能なテナント型の施設は平屋建てで、延べ床面積は287平方㍍。昨年5月に終了した同町の仮設飲食店街「大船渡屋台村」で営業していた店舗など、市内のスナックや居酒屋が入居する。
 このうち、1日は「スナック・ageha(あげは)」「飲み食い処・かあさん」「ちっちゃなお店・天使の森」の3店舗がオープン。念願となる本設店舗での営業が始まり、気持ちを新たにした。
 このうち、天使の森は店主の森初子さん(64)と一人娘の奈緒さん(41)の親子が営む飲食店。屋台村で27年1月から終了まで営業後、1年4カ月ぶりの復活を果たした。
 震災では、家族も大船渡町内の自宅も難を逃れたという森さん。「何か力になれれば」と郷土菓子のなべやきを手作りしてボランティアで配る活動を始め、静岡県から支援に入っていた一人の僧侶と出会った。
 僧侶から自分の夢を聞かれ、森さんは「64歳で店を出したい」と答えた。その後、縁あって静岡でその夢を応援したいという支援者が現れ、釜石市や山田町で出店を希望する仲間とともに、同県富士宮市のご当地グルメ・富士宮やきそばの作り方や経営のノウハウを学んだ。
 修行後、キッチンカーで1年3カ月、屋台村では2年4カ月営業。仮設店舗の営業を支えた身内の死を乗り越え、今回やっと本設店舗を構えることができた。
 カウンター席のみと規模は小さいが、「64歳で店を出す」という夢をかなえ、親子で店に立つ。人気メニューは奈緒さんの名前を冠した「なおちゃんラーメン」。店の原点でもある「なべやき」と「富士宮やきそば」も提供しており、テイクアウトにも応じる。
 1日は知人や常連客らが足を運び、新たな出発を祝福。森さん、奈緒さんも満面の笑みで応えた。
 「大船渡でいろんな人のお世話になって生きてきた。店がオープンして、これからは皆さんに愛を返していかなくちゃ」と話す森さん。「気を引き締めないと、と思う。みんなが来て、楽しいと思ってもらえる店をつくりたいし、大船渡を盛り上げて幸せを発信していきたい」と意気込んでいる。
 天使の森はランチが午前11時~午後2時(ラストオーダーは同1時30分)、夜は午後5時~11時(同10時)の時間帯で営業。定休日は毎週火曜日。
 夢横丁では今後、4日(木)に「いぬい」「酒屋・夕凪」「スナック・ゆり」「スナック・Aoi」が、11日には「スナック・YOU樹」がオープンを予定する。