木製の橋板 新調へ、松日橋受益者組合がクラウドファンディングに挑戦/住田

▲ 地元外の人々からも愛されている松日橋=下有住(平成30年4月撮影)

 住田町下有住の松日橋受益者組合(金野純一組合長)は、組合員自らが気仙川に架けている松日橋の橋板新調などに充てる財源確保に向け、クラウドファンディングへの挑戦を始めた。目標金額は30万円で、銀行振り込みの受け付けは11月8日(木)まで。広く協力を求めるだけでなく、住民が手づくりで古里らしい景観を守り続ける作業に理解を深めてもらうことで、交流拡大につなげる願いも込めている。

 

「古里らしさ」を守ろう

 

台風24号による増水の影響で、現在は架けられていない=同

 同組合は昭和57年に発足し、気仙川左岸側の松日、右岸側の中山の計18世帯で構成。かつては下有住だけで七つの木橋があったというが、近年はこの地だけとなった。
 橋の長さは約40㍍。橋脚は「叉股(ざまざ)」と呼ばれる太い枝が二股に分かれた部分を使う。増水時はワイヤーロープでつながれた橋板が浮き、橋脚は流れに逆らわない形で倒れ、橋の形が失われる仕組みとなっている。
 高齢化が進み、組合員の平均年齢は70歳を超える。クラウドファンディングは賛同者が多ければ資金確保につながるだけでなく、一定期間にわたり取り組みがホームページで紹介されるなど、情報発信の効果も期待されている。
 組合では、住民が守ってきた手づくり橋の誇りを広く伝えながら、橋架け作業の知恵や技術も若い世代に伝承し、交流拡大を図っていこうと初めて挑戦。今月から岩手での取り組みに特化した「いしわり」のサイト(https://ishiwari.iwate.jp)で周知を始め、すでに17人から賛同を得ている。
 松日橋は台風24号接近に伴う増水で流され、現在は独特の景観を目にすることができない。さらに、橋の部材を固定するワイヤーをくくりつけていた川岸のクルミの木もなぎ倒された。組合では今後、橋の復旧を行うことにしている。
 金野組合長(74)は「木製であり、8年ぐらい経過すると板を新調しなければならず、その時期にはまとまった資金が必要となっている。地域住民が中心となって伝統を守り、実際に利用する橋ではあるが、古里らしさを残したいと願う人々からも協力を得られれば。橋架けの作業に合わせ、交流も深めたい」と話している。
 目標額に達成した場合は、新しい材となるスギの木の購入や運搬費、製材などに活用。支援者には、橋架けの作業日を案内し、その後行う交流会などに招待する。さらに「春の松日橋」が描かれたポストカードも送る。
 銀行振り込みの受け付けは11月8日までで、手続き方法の詳細はサイト内で紹介している。問い合わせは、いしわり運営事務局のメール(info@ishiwari.iwate.jp)へ。