総合計画への意見募る、11月まで11地区で市政懇談会/陸前高田

▲ 今泉地区から始まった市政懇談会=陸前高田

 陸前高田市の市政懇談会は5日、気仙町今泉地区からスタートした。震災復興計画を引き継ぎ、平成31年度からの10年間を計画期間とする「市まちづくり総合計画」の素案内容や、これからのまちづくりの方向性などに関して参加住民が意見を寄せ、早期復興の実現などを要望した。

 

今泉地区からスタート


 今回の懇談会は、市の最上位計画に位置づけられる総合計画の素案について市民の声を吸い上げることが主な目的。地域課題などに関しても住民の意見・要望を聞き取る場として、市内全11地区で開催される。
 初日は気仙町の災害公営住宅・今泉団地集会所を会場に開かれ、地域住民ら約20人が出席。当局はまず、計画策定における基本的な考え方、前期(31~35年度)の基本計画と方針、基本政策などを示すとともに、市民満足度調査の結果もふまえた現在の市政課題などについて概況を説明した。
 参加者は「基本政策に具体性が欠けている。基本理念の中に政策のような具体的な文言があったり、逆に、政策の中に理念のような抽象的な文言がある」などと指摘したほか、高田松原津波復興祈念公園の活用方法などについて質問した。
 区画整理事業の完了が32年度となり、かさ上げ部などの宅地引き渡しも残る同地区においては、住宅の再建を果たした戸数もまだ少なく、住民の大半が高齢であること、居住地域も互いに離れているといった理由から、「自治活動もままならない」という声が聞かれた。
 参加者は「公民館もコミセンもまだない。少ない人数ですべてやりくりしなければならず、道路愛護会や衛生組合、自主防災組織の活動も苦労する。まさに〝限界〟以上の限界集落の状態」とし、同地区の復興が遅れている現状について訴えた。
 戸羽太市長は「喫緊の課題としては、道路の維持管理といった自治活動について同じ方にばかり負担がいってしまうという点だと思う。行政からシルバー人材センターに作業を依頼するなど、対策を詰めさせてもらいたい」と述べた。
 また、かさ上げ部の商業エリアについて「もし、大手の企業などがここで事業をしたいとなった場合、今の範囲だけでは足りないと思う。一方、住宅地は(利用予定がなく)余っている場所も多い。住居専用となっている地区を商業用にすることはできるのか」という質問も出された。
 これに対し熊谷正文復興局長は、「そのような企業が現れた場合、用途変更ということも考えられる。状況を見ながら、今泉の土地利用について考えていきたい」とした。
 さらに、県指定文化財「吉田家住宅」の復元と津波で被災した石碑類の今後についても質問が寄せられたほか、「地域の歴史や文化を後世に伝えるということも盛り込んでほしい」といった要望もあった。
 今後の開催予定は次の通り。居住地区以外の懇談会にも参加できる。いずれも開会は午後7時。
 ▽15日(月)=コミュニティホール大会議室▽18日(木)=長部コミセン▽19日(金)=米崎コミセン▽22日(月)=生出コミセン▽23日(火)=広田コミセン▽24日(水)=下矢作コミセン▽25日(木)=竹駒コミセン▽26日(金)=小友コミセン▽29日(月)=横田コミセン▽11月1日(木)=矢作コミセン


19日までパブリックコメント
 
 陸前高田市は市まちづくり総合計画に関し、19日(金)までパブリックコメントを実施する。平成31年度から40年度までの今後10年間におけるまちづくりの指針となる計画の素案について、市民から意見を募る。
 市ホームページで総合計画の素案と、その概要版を閲覧することができる。意見書の様式もホームページからダウンロード可能。各地区コミュニティセンター(今泉地区は今泉団地集会所)に備え付けの回収箱に投函するか、市役所企画政策課まで直接提出を。
 また、氏名・住所・電話番号を明記のうえ、郵送(〒029・2292陸前高田市高田町字鳴石42の5)かFAX(54・3888)メール(kikaku@city.rikuzentakata.iwate.jp)で提出してもよい。
 寄せられた意見・提言は市ホームページで匿名で公表される場合がある。類似意見は集約する。意見書の返却、個別回答はしない。