町教委が「学び場」整備、15日から住高内に自学自習スペース/住田
平成30年10月12日付 1面
住田町教育委員会は15日(月)から、県立住田高校(鈴木広樹校長、生徒87人)の研修会館内に、生徒たちの自学自習を支える「放課後の学び場」を開設する。冬期のバス待合室としての利用に加え、町が採用したスタッフらが常駐し、社会に役立つ学びを得られる機会をつくりたい考え。勤務時間中の町職員が出向きやすい体制も整えるなど、町ぐるみで〝顔の見える支援〟を充実させる。少子化が進行する中、生徒増につながる新たな魅力づくりを後押しする取り組みとなるか、今後の展開が注目される。
魅力づくり支援へ新事業
住田町は、町内唯一の高等学校である同校支援策として、教育振興事業の一環で給食の無償提供を実施。通学距離が6㌔以上の生徒には、バス定期券料金の3分の2を補助している。さらに、オーストラリアへの生徒派遣や部活動活動費の補助、英検受験料の全額負担も進めてきた。
本年度、創立70周年を迎えた同校はボランティアをはじめ特色ある活動を展開。一方、県教委の県立高校再編計画では、住田をはじめ1学級校は入学者数が2年連続で20人以下になった場合、原則として翌年度に募集停止となり、統合を進めるとしている。
町内のみならず気仙全体で少子化が進行している中、今後の生徒数確保には厳しい見通しも。町教委ではさらなる魅力づくりにつながる有効な支援策を打ち出していこうと、新事業に乗り出した。
研修会館は同校敷地内にあり、バス停にも近い。開設日は毎週月~木曜日で、時間は午後4時~7時30分。利用登録を済ませた住高生が対象で、利用料は無料。開設時間内であれば、好きな時間に利用できる。
気仙両市から通う生徒も多く、そのほとんどが公共バスを利用。運行本数が限られ、ダイヤに合わせて学校周辺で〝拘束〟されることも多い。冬期間を迎える中、待ち時間の有効活用を支える。
また、インターネットに接続できる「Wi―Fi(ワイファイ)」も完備。同校では授業動画を配信するオンライン学習サービス「スタディサプリ」を活用していることから、放課後もこうしたサービスを利用した自学自習ができる。
さらに、利用時間内は町が採用した教育コーディネーターのほか、世田米商店街で「寺子屋」として学習支援を行っているスタッフ、専門学校での就職支援経験がある町在住者らが手分けをして常駐。さらに、町職員有志も支援にあたる。
本来、午後4時台は業務時間中だが、町は学び場支援を行う場合は職務専念義務を免除する「職専免」を適用。積極的な〝人材派遣〟を行うことで、町ぐるみでの支援充実を図る。
同校では10日、生徒向けに説明会を開催。町職員が出向き、利用の基本ルールなどを確認したあと、「これからの人生につながる学びや、チャレンジ精神を後押ししたい」「皆さんと一緒になって『学び場』をつくりたい」と呼びかけた。
本年度から教育コーディネーターを務め、生徒たちのニーズ把握や学び場開設への準備を進めてきた小宅優美さん(26)は「生徒の求めに合わせて、アドバイスできる体制を整えたい。町の人の顔が見える支援を行うことで、生徒たちにも町から応援されているという実感をさらに持ってもらえれば」と話している。