出店4事業者決まる、新「道の駅・高田松原」/陸前高田市
平成30年10月13日付 1面

陸前高田市は、来年8月開業予定の新「道の駅・高田松原」の地域振興施設における出店・販売受託業者を決定した。広田湾漁業協同組合(砂田光保組合長)と市水産加工業連絡協議会(佐々木伸一会長)が共同で水産物を、農事組合法人採れたてランド高田松原(熊谷恭雄組合長)が農林産物を、陸前高田地域振興㈱(佐藤忠広代表取締役社長)が土産物販売を担う。市は、「陸前高田のファンを増やすことができるような拠点施設に」と構想を膨らませており、選定事業者や、近日募集を開始する指定管理者らとともに、運営のあり方を工夫していきたいとしている。
食や体験、地域振興の拠点に
来夏オープン目指し整備中
新しい道の駅は、国・県・市が同市気仙町字土手影地内に整備中の高田松原津波復興祈念公園内に配置される。施設は休憩所と貴賓室、東日本大震災津波伝承館(いわてTSUNAMIメモリアル)、高田松原地域振興施設で構成され、国・県・市が一体的に建設を進めている。
このうち、市が整備する地域振興施設は物産、土産品、軽食店舗などからなり、RC造(一部鉄骨造)地上2階建て、延床面積は1500平方㍍。
市は8~9月、物産等販売所の出店者と販売受託事業者の募集を実施。①水産振興店舗②軽食店舗③農林水産物の販売業務委託④土産品の販売業務委託──を募り、計4件の申し込みがあった。
市は▽施設利用の考え方が「ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくりアクションプラン」に沿っている▽効率的かつ効果的な管理運営がされる▽申請者の規模や能力が十分である▽事業の継続性が見込まれる▽市内の雇用創出など、地域貢献の意欲が十分である──を選定基準に審査を行った。
その結果、①の水産振興店舗には広田湾漁協と市水産加工連絡協が、③の農林水産物の販売業務委託には採れたてランド高田松原が、④の土産販売区域は陸前高田地域振興が決定した。
市は応募がなかった②の軽食店舗の運営について、まもなく募集を始める指定管理者の直営とするか、再募集を行うか協議中だという。
道の駅は、地域の創意工夫により道路利用者に快適な休憩と多様で質の高いサービスを提供する施設。平成5年から認定制度がスタートし、気仙地区では陸前高田市の「高田松原」、住田町の「種山ケ原」、大船渡市の「さんりく」の3駅が登録されている。
このうち、「高田松原」は市が総合観光案内所・タピック45として、高田町の国道45号沿いに平成3年度に開設した施設。認定初年の5年度に県内初の道の駅として認定、登録された。道路情報・地域観光情報提供システムのほか、物産販売、喫茶の各コーナー、七夕体験コーナーなどからなる観光インフォメーションセンターと、イベント広場、野外ステージなどが設置されていたが、東日本大震災で被災した。
震災後の27年1月、国土交通省などが道の駅・高田松原を「重点道の駅」に選定。
震災遺構として残るタピック45を生かしながら、震災伝承・地域復興の核として発展的に再生を図り、震災の実情や教訓を国内外に発信する役割、物産販売などによる産業活性化に寄与することや、三陸観光の「玄関口」となることが期待されている。
地域振興施設の開業準備にあたる市農林課の村上聡課長補佐は「単に陸前高田のおいしいモノが食べられる、買えるといったことだけではなく、漁業体験などの〝コト〟もここから提供したい。施設を通じて陸前高田のファンになっていただき、ともに未来へ歩んでいける施設となるようさまざまな構想を練っている段階。地元の生産者らとも協力を図っていきたい」と話している。