秋の大船渡を楽しんで、「ぱしふぃっくびいなす」が通算15回目の入港果たす(動画、別写真あり)

▲ 客船「ぱしふぃっくびいなす」が今年2度目の入港を果たし、市民らの歓迎を受けた=大船渡港野々田ふ頭

 日本クルーズ客船㈱(本社・大阪府大阪市)の客船「ぱしふぃっくびいなす」(2万6594㌧、仲田敬一船長)は13日、大船渡市の大船渡港野々田ふ頭に入港した。今年5月以来、通算15回目の入港となり、好天のもとで多くの市民らが歓迎。ふ頭では初の「さんま焼き師認定試験」や「わかめ芯抜き体験」、旬の味覚を味わえるコーナーなどが設けられ、乗船客らは思い思いに秋の大船渡を楽しみ、次の寄港地へと向かった。

 

さんま焼き師認定試験も

 

 ぱしふぃっくびいなすは「おおふなと特別観光大使」を務めており、今年就航20周年を迎えた。今回は自社クルーズ「秋の日本一周クルーズ」の一環で、乗客、乗務員合わせて564人が大船渡を訪れた。
 秋晴れのもと、ふ頭では市民ら総勢約200人が入港を歓迎。綾里大権現保存会による綾里大権現の舞と、大船渡商工会議所女性会の太鼓演奏で歓迎に花を添えた。
 セレモニーでは、戸田公明市長が東日本大震災からの復興の様子やこれまでの支援に対する感謝を伝え、「秋深まる短い一日だが、大船渡を楽しんでもらいたい」とあいさつ。花束や記念品、返礼品の贈呈が行われた。
 仲田船長は「大船渡には何度も訪れているが、復興の力を感じる。大船渡を存分に楽しみ、交流を深めたい」と述べた。
 ふ頭では、観光案内所や物産販売コーナーを開設。乗客や乗務員向けに、わかめ芯抜き体験、大船渡で水揚げされたサンマの炭火焼きや郷土料理などを振る舞うコーナーも設け、大船渡の魅力を発信した。
 奈良県吉野町の南由男さん(86)と伊野豊子さん(73)は船旅仲間で、ぱしふぃっくびいなすへの乗船は2回目。初めて訪れた大船渡に2人は、「三陸鉄道で観光をするのが楽しみ。ゆったりとしたいいところで人情的に優しく、触れ合える場所だと思う」と話していた。

乗船客や乗務員を対象に初めて行われた「さんま焼き師認定試験」=同

 この日は、市観光物産協会(齊藤俊明会長)が乗客、乗務員を対象に「さんま焼き師認定試験」を初開催。4人が受験し、ふ頭ではサンマ炭火焼き講習が行われた。
 4人は、「さんま焼き師師範」の大船渡商工会議所職員・田端隆志さんから、〝大船渡式サンマ焼き〟の手順などを学んだ。同協会では受験者に対して今月中に合否を通知し、合格者には認定証が贈られる。
 神奈川県藤沢市の小沢直幸さん(83)は、焼き師認定試験始まって以来の最高齢受験者。旅行会社の資料で認定試験を知って受験したといい、「黄金色で、皮も網につかずにきれいにサンマが焼けた。藤沢では保育園の理事長を務めているので、焼き師になったら園の子どもたちにサンマを焼いてあげたい」と話し、笑顔を見せていた。
 今回の入港では、事前に申し込みがあった市民を対象とした船内見学会も開催。夕方には寄港御礼アトラクションも行われ、市民らが再会への期待を込めながら見送った。
 大船渡港には、15日(月)午前8時に郵船クルーズ㈱の「飛鳥Ⅱ」(5万142㌧)が今年2度目の入港を予定。市民ら多くの歓迎を呼びかけている。