2018大船渡市長選/新人・現職の一騎打ち濃厚、前哨戦で支持拡大図る
平成30年10月18日付 1面

戸田公明氏

藤原良信氏
任期満了に伴う大船渡市長選の告示まで、残り1カ月となった。現在、立候補を予定しているのは、表明順に新人で元参議院議員の藤原良信氏(67)=日頃市町・無所属=と、現職で3期目を目指す戸田公明氏(69)=猪川町・同。両氏以外に出馬の動きはみられておらず、新人と現職による一騎打ちが濃厚だ。両陣営ともすでに臨戦態勢を整え、前哨戦での支持拡大にしのぎを削っている。
告示まで残り1カ月、市政担う次のリーダーは
同市長選は12月2日(日)の任期満了に伴うもので、11月18日(日)告示、同25日(日)投票の日程で実施。昭和27年の市制施行から数えると通算19回目、三陸町との合併後は5回目、東日本大震災後は2回目となる。今月23日(火)には、市役所で立候補予定者説明会が開かれる。
新人の藤原氏は衆議院議員秘書を経て、昭和62年の県議選から連続5期当選を果たし、平成15~17年には議長を務めた。19年の参院選比例区に、民主党公認で出馬して初当選。25年の参院選では、生活の党から再選を目指したが落選した。
今年2月、正式に市長選への立候補を表明。大船渡港を国際リニアコライダー(ILC)機材の荷揚げ港に見据えた高規格路線(大船渡─内陸部)の整備、総合運動公園の整備、市防災計画の見直しなどを政策に挙げる。現市政への批判も織り交ぜながら、「市政の刷新」を強調する。
同氏後援会(宮澤信平会長)では、選挙戦に向けて組織の再構築を図り、市内19地域に支部を設け、同氏を推薦した事業所で構成する企業連合会(11部会)も組織した。市内各地で開催する「懇談会」を通じて自らの考えを市民に訴え、県議時代からの支持層を固めるとともに、産業界への浸透にも力を入れる。20日(土)には「決起集会」を、11月には事務所開きを予定。今後は地域回りにもより力を注ぎ、支持拡大を図っていく。
現職の戸田氏は、大手建設会社を辞して18年の市長選に立候補するも、現職との一騎打ちに敗れた。22年の市長選に再び臨み、新人3人による戦いを1万1531票で制し、初当選。26年の前回選では、新人候補に2662票差の1万2062票を得て再選した。
今年2月に3選出馬への意欲を示し、5月には正式に表明。自ら関わった復興計画の着実な推進と完了、持続可能なまちづくりに向けての「市政の継続」を訴える。政策には、市まち・ひと・しごと創生総合戦略の推進、被災跡地等への企業誘致、ILC誘致の一層の推進などを掲げる。
同氏後援会(水野公正会長)では3選を目指して支部組織体制を再構築し、市内に15支部を設置。9月の事務所開きには田村誠県議、戸羽太陸前高田市長、神田謙一住田町長ほか、支持者約250人が集まった。公務の合間を縫って市内で「語る会」を開き、2期にわたる現職としての実績を強調。市内各地で市民との対話機会を増やし、新たな支持層の掘り起こしも進める。11月には「総決起大会」の開催を予定する。
政党関連の動きをみると、国民民主党県連、連合岩手、平和環境岩手県センター、岩手友愛会が戸田氏を推薦。自民党大船渡市支部と自民党県日本財務振興支部は、藤原氏の支援を決めた。公明党県本部と社民党気仙支部は自主投票とし、共産党は現時点で態度を明確にしていない。
市議(20人)は、光政会6人全員と自由民主・無所属の会6人のうち5人の計11人が藤原氏を、新政同友会の5人全員が戸田氏を支持している。
現段階で、この2人のほかに立候補に向けた動きはみられていない。「刷新」を訴える新人と、「継続」を掲げる現職による一騎打ちの公算が大きくなっている。
ともに知名度がある2人の激しい選挙戦が予想される中、明確な政策の違いや争点が見えにくいとの声も少なくない。残る1カ月の前哨戦では、若年層や無党派、浮動層へいかに訴えを浸透させ、支持を固めていくかも注目される。
9月3日現在の有権者数は、3万1832人(男1万5147人、女1万6685人)。前回選投票時の3万2418人(20歳以上)と比べると586人少ない。