最後の11分団6部(崎浜)が落成、被災消防屯所の再建完了/大船渡

▲ 津波で被災した第11分団第6部消防屯所の完成を受けて開かれた引き渡し式=三陸町越喜来

 東日本大震災の津波で被災し、大船渡市三陸町越喜来字仲崎浜の旧崎浜小学校校庭内で新たに建設が進められていた市消防団第11分団第6部消防屯所が完成した。現地で20日、引き渡し式や落成祝賀会が行われ、消防団員や地域住民らが地元の防災拠点となる新消防屯所の完成を心から祝い、災害に強い地域づくりへの思いを新たにした。今回の完成により、震災で被災した市内の消防屯所18棟すべての再建が完了。市は今後も消防団や地域と連携しながら、防災まちづくりの充実を図っていくとしている。

 

 高台などに18棟整備

 

11分団6部の消防屯所が落成し、市内で被災した18棟すべての再建が完了=同

 7年7カ月前の震災では、沿岸部に位置していた市内18カ所の消防屯所が被災。市は地元消防団や地域と連携しながら検討し、高台などへの再建を進めてきた。
 これまで、平成27年度に10棟、28年度に5棟、29年度に2棟が完成し、すでに供用を開始。残すは第11分団第6部のみとなっていた。
 11分団6部の旧消防屯所は、津波によって被災。被災後は、高台にある旧崎浜小の保健室を仮屯所として利用してきた。
 その後、市や関係機関と協議を重ね、29年度に旧崎浜小校庭内への建設が決定。同年度内に設計、本年度は建築工事を進め、今月4日に完成した。設計は古座設計事務所、建築工事は㈱中澤組が担当。建築工事費用は2332万円。
 新しい消防屯所は木造平屋建てで、敷地面積は888・91平方㍍、建築面積は91・91平方㍍、延床面積は88・60平方㍍。消防ポンプ車用車庫のほか、台所、待機室、トイレなどを備える。施設規模は旧屯所とほぼ同じだが、6部の要望を受けて台所は若干広めとしたという。
 新屯所前で行われた完成引き渡し式には、消防団や地元地域の関係者ら約30人が出席。神事で地域の安全を祈願したあと、戸田公明市長から11分団6部の見世祐孝部長(47)に、鍵の目録が手渡された。
 見世部長は、建設事業に携わった関係機関や地域の協力に感謝を示し、「地域住民の理解と協力をいただきながら団員の確保を目指し、団結力を持って生命、財産を守るべく、消防団員としての使命にさらなる努力、精進にまい進していきたい」と決意を誓った。
 崎浜公民館で開かれた落成祝賀会では、主催した地縁団体・崎浜公益会の瀧澤誠会長が「市内で最後の再建となる消防屯所が完成したことは、地域にとっても待ちに待ったもの。今後は、万が一に備えた危機管理体制の整備が急務。消防屯所と、近い将来整備を期待する防災コミュニティセンターを中心に、災害に強い地域づくりを進めていきたい」とあいさつした。
 工事概要の報告に続き、戸田市長が「消防屯所を十分活用し、地域の生命、財産、安全安心なまちづくりのよりどころとしてほしい」とあいさつ。
 市消防団の新沼哲団長は、「被災屯所の復興も、11分団6部の完成をもって18棟すべてで完了した。完成した屯所は、防災活動に必要不可欠なもの。団員らは落成を励みにし、防火、防災に対する心構えを新たに、地域の方々がより安全で安心して暮らすことのできる期待に応えてほしい」と述べた。
 出席者らは、7年7カ月もの間待ちわびていた地域防災拠点の完成を改めて祝福。消防団活動などでの有効な活用を誓い合った。
 市内で被災した消防屯所の再建完了に対し、戸田市長は「数多くの復興事業の中でも、消防屯所の再建は安全安心なまちづくりのよりどころとなるものであり、完了は本当に喜ばしく思う。今後も市民の生命、財産を守り、安全安心なまちづくりに努めていきたい」と話していた。