㈱バンザイ・ファクトリーが香るスマホケース開発、富士通の特許技術活用/大船渡

▲ バンザイ・ファクトリーが富士通の特許技術を活用して新商品を開発

 IT木工や食品・飲料品などの製造販売を手がける大船渡市の㈱バンザイ・ファクトリー(髙橋和良社長)は、香水などをチップに付けると長時間香りのただよう木製iPhone(アイフォーン)ケースを開発した。富士通㈱(田中達也社長、本社東京都)の特許技術を用いたもので、29日にはライセンス契約を締結。三陸のベンチャー企業と大手企業が連携し、先進的なものづくりに取り組む。


 バンザイ・ファクトリーは平成27年から、武蔵野美術大学とiPhoneケースの産学共同研究を開始。板の厚さによる握り心地の変化や造形・構造の検討を繰り返し、確実に握れる形状を探求。切削方法や治具を開発し、数台の切削機を使う製造ラインをつくって高度なデザインの切削に成功した。販売は翌年から開始。「落としにくい」形状となっており、これまでに約1000個を販売。デザイン性の高さから女性に人気があり、購入者のおよそ7割を占める。
 新商品は、富士通の有償開発特許「芳香発散技術」を活用。多孔質セラミック製のチップに香水などを付けることで、携行品を好みの香りにすることができる。チップは水洗いも可能で、さまざまな香りを楽しめる。同技術が木製品、スマートフォンケースに応用されたのは今回が初。
 両社は昨年、復興庁が陸前高田市で開いた地域復興マッチング「結の場」で出会い、1年の試作期間を経て商品を開発。バンザイ・ファクトリーが公益財団法人さんりく基金の「平成30年度県北沿岸地域新商品・新サービス開発事業」の採択を受け、特許ライセンス契約に向けた協議を開始し、同日の契約締結に至った。富士通と地域企業のライセンス契約は東北では2件目、本県では初めて。
 調印式は大船渡町のバンザイ・ファクトリー本社で行われ、髙橋社長と富士通㈱東北支社エリア戦略推進部復興推進チームエキスパートの小林淳さんが契約書にサイン。
 新商品は11月17日(土)に販売開始。販売予定価格は、カラー1万300円、木肌が8300円、漆が1万3300円(いずれも税抜き価格)となっている。
 従来の木製ケースと新商品合わせて年間1200個の販売を目標としており、雇用の創出も目指す。髙橋社長は「来年は釜石でもラグビーワールドカップが開催されて、多くの人が集まる。そこに集まる国内外の人たちにも買ってもらえれば」と話している。