「営業終了後」を利活用 、一日限定シェフが料理/大船渡
平成30年10月31日付 7面

大船渡市大船渡町の㈱キャッセン大船渡(田村滿社長)は27日夜、キャッセン・モール&パティオ内で営業するHy,s Cafe(ハイズカフェ、下舘博美オーナー)の営業終了後の空き時間を利用し、新企画をスタートさせた。この日は同社の臂徹取締役が一日限定シェフを務め、カレーなど3品を用意。普段は暗く、静かな夜の店内に明かりがともり、食事や交流を楽しむ人々で新たな活気が生まれた。主催者側では今後、自身の料理を振る舞ってみたい人や、将来的に出店を希望する人向けにこの企画を続けていきたいとしている。
キャッセンとハイズカフェ、出店希望者らの受け皿に
ハイズカフェは昨年4月、モール&パティオの開業に合わせてオープン。食事やスイーツが楽しめるカフェとして親しまれており、営業時間は午前11時〜午後5時となっている。
キャッセン側では、営業終了後の空き時間に着目。全国的にも店舗の閉店後や空き時間を活用し、別な店舗が営業するケースがみられており、「空き時間を活用して、新たな活気を生むことができれば」と下舘オーナーに相談。そこで互いの考えが一致し、関係者らで実行委員会(委員長・田村社長)を設けて9月下旬から準備を進めてきた。
実現にあたっては、万が一事故が起きた場合の補償、場所代をどうするかなど、解決しなければならない課題もあった。これらは保険の利用や、利用者がカフェ側と一日限りの雇用契約を結ぶという仕組みを整えるなどし、リスクに備えた。
初回は実際に運営をし、新たな課題や対応すべき点などがないかを確認しようと、臂取締役がシェフを担当。以前、盛岡市内でカフェを経営していた臂取締役は、何度か厨房に立った経験があり、その時に好評だったカレーを提供することとした。
この日は、「奇跡のカレー」「或日の鶏カラ(鶏の唐揚げ)」「至高のピクルス」の3品25食分と、ドリンク類を用意。メーンのカレーは、エビ、貝柱、鶏ガラの3種類でだしをとり、22種類のスパイスを使った本格的な一品。これにキノコと豆苗の炒め物など2種類の〝味変〟を添え、飽きのこないカレーに仕上げた。
スパイシーな香り漂う店内には、フェイスブックなどでイベントを知った人々が来店。臂取締役らキャッセンのスタッフが運営にあたり、来店者らをもてなした。
カレーを口にした人々は、「おいしい」「味変があって面白い」などと話しながら味を堪能。ゆったりとした雰囲気の中、料理はもちろん会話を楽しむグループも多く、店内は活気にあふれた。
臂取締役は「『おいしい』と言われることがこんなにうれしいとは。飲食店経営には苦労もあるが、それが生きがいになっていると感じた。今回の経験が、キャッセンの飲食店盛り上げにもつながるいい機会になった。今後、料理を振る舞いたい、出店に向けてチャレンジをしたいという方々の受け皿になれば」と話していた。
この企画は今後、週末を中心に週1、2回計画。キャッセン側によると、すでに何人か利用希望者がいるという。
利用は実行委への登録制で、審査がある。有料で、保険料や登録料、場所代などが必要。食材や調理道具、食器類は利用者の持ち込みとなる。
今後の開催情報は、イベントのフェイスブック(https://www.facebook.com/JackHyscafeciviled/)で発信。利用希望などの問い合わせは、キャッセン大船渡(℡22・7910)へ。