2018大船渡市長選/告示まで2週間、新人・現職の一騎打ち確実か

戸田公明氏

藤原良信氏

臨戦態勢のもと前哨戦終盤
両陣営、支持拡大に注力

 

 任期満了に伴う大船渡市長選の告示まで、残り2週間となった。現在、立候補を予定しているのは、表明順に新人で元参議院議員の藤原良信氏(67)=日頃市町・無所属=と、現職で2期目の戸田公明氏(69)=猪川町・同。両氏のほかに出馬の動きはみられず、新人と現職による一騎打ちが確実な状況。両陣営とも臨戦態勢のもとで前哨戦終盤を迎え、支持拡大に一層力を入れている。

 同市長選は12月2日(日)の任期満了に伴うもので、今月18日(日)告示、同25日(日)投票の日程で実施。昭和27年の市制施行から数えると通算19回目、三陸町との合併後は5回目、東日本大震災後は2回目となる。
 先月23日に市役所で開かれた立候補予定者説明会には、すでに出馬を表明している藤原、戸田各氏の陣営関係者らが出席。2陣営のほかに出席はなく、新たな立候補への動きもみられていないことから、この2人による一騎打ちの公算が大きくなっている。
 新人の藤原氏は今年2月、正式に市長選への立候補を表明。同氏後援会(宮澤信平会長)では、支持組織を再構築し、市内19地域への支部と、同氏を推薦した事業所で構成する企業連合会(11部会)を設置した。
 国際リニアコライダー(ILC)の誘致を見据えた大船渡と内陸部を結ぶ高規格路線の整備、安全安心なまちづくり、子育て施策の充実などを訴え、「市政の刷新」を強調。市内各地での「懇談会」や地域回りに力を注ぎ、県議時代からの支持層を固めるとともに、支持拡大への掘り起こしを進めている。
 先月20日にリアスホールで開かれた決起集会には、鎌田水産㈱代表取締役会長の鎌田和昭氏、花巻空港国際定期便利用促進協議会長で花巻温泉社長の安藤昭氏ほか、支持者ら約1300人が参加。きょう4日には、事務所開きが行われる。
 現職の戸田氏は、今年2月に3選出馬への意欲を示し、5月に正式表明。同氏後援会(水野公正会長)では3選に向けて支部組織体制の再構築を図り、市内に16支部を設置した。
 2期にわたる現職としての実績を打ち出しながら「市政の継続」を掲げ、自ら携わった市復興計画の完遂、まち・ひと・しごと創生総合戦略による持続するまちづくり、ILC誘致の推進などに意欲をみせる。公務の合間を縫いながら、市内各地で開催の「語る会」では有権者と対話を重ね、地域回りにも力を入れて新たな支持層への浸透も図っている。
 9月に行われた事務所開きには、田村誠県議、戸羽太陸前高田市長、神田謙一住田町長ほか、支援者ら約250人が集まった。今月12日(月)には、リアスホールで総決起大会を予定している。
 政党などの動きをみると、自民党大船渡市支部と自民党県日本財務振興支部は、藤原氏を支援。
 一方、国民民主党県連、連合岩手、平和環境岩手県センター、岩手友愛会は戸田氏を推薦。大船渡市漁協も先月29日、「震災後の各種支援など漁協の復興に貢献している」として、理事会で同氏の推薦を正式に決めた。
 公明党県本部と社民党気仙支部は、自主投票。共産党大船渡市委員会は今月1日、同氏を自主支援することを決定した。
 市議(20人)は、光政会6人全員と自由民主・無所属の会6人のうち5人の計11人が藤原氏を、新政同友会の5人全員と共産党大船渡市議団2人全員の計7人が戸田氏を支持している。
 新人対現職の一騎打ちが濃厚となる中、それぞれの陣営では臨戦態勢のもと、活発な前哨戦を繰り広げている。2週間後に突入する選挙戦に向けては、支持動向が読みにくい若年層への浸透、幅広い世代に対する政策発信をいかに図っていくかが大きなカギとなりそうだ。
 9月3日現在の有権者数は、3万1832人(男1万5147人、女1万6685人)。前回選投票時の3万2418人(20歳以上)と比べると586人少ない。