岩手をモードの地へ!、熊谷さんアパレルブランド創業/大船渡
平成30年11月7日付 7面
「岩手をモードの地へ!」――。大船渡市盛町の熊谷静香さん(36)は、大船渡発のアパレルブランド「zuzu」を立ち上げ、クラウドファンディング(CF)でアパレル製造費用などの調達に挑戦している。協力者に贈る返礼品が同ブランド初の製品となる。熊谷さんは「大船渡でも夢はかなえられると信じている。ブランドを大きく成長させたい」とPRに力を注ぐ。
製造費用調達にCF実施中
三陸町綾里出身の熊谷さんは、大船渡農業高校卒業後、好きだった映画の制作を学ぼうと渡米し、語学学校に入学。そこで「映画ではなく、映画の世界のファッションに興味があることに気づいた」という。アメリカ同時多発テロの影響で帰国したあとは大船渡で働いていたが、上京しアパレルメーカーに勤務した。
平成27年、結婚を機に帰郷。一時はアパレル関係の仕事からは離れていたが、妊娠が分かった際に「自分の好きなことを頑張っているお母さんになりたい」とブランド立ち上げを決心。「子どもと同い年にしたかった」と長男が生まれた昨年、ブランドを設立した。
ブランド名の「zuzu」は、知り合いの外国人が熊谷さんにつけたニックネームが由来。「この呼ばれ方が自分の中で気に入っていたし、外国の人も発音しやすく、覚えやすい」と名付けた。
コンセプトは「ジェンダーレス+ボーダーレス」。若者らが好むストリートスタイルに大人びた要素を加えるのが基本。着心地のよさにこだわり、あえてゆったりしたサイズ感としている。「男女の区別はつけておらず、兼用で使ってもらえれば。性別などにこだわらないで、着たい人に着てもらいたい」という。
「大船渡発」の印として、海をイメージした青いタグを全ての製品に取り付けることとしている。
起業に向けては、沿岸被災地でのビジネス立ち上げを支援する県の「さんりく地域起業・新事業活動等支援費補助金(さんりくチャレンジ推進事業)」の29年度第3回募集で採択を受け、必要な資機材をそろえるとともに、サンプル作成の準備を始めた。
さらに、今年10月1日から岩手での取り組みに特化した「いしわり」にプロジェクトページ(https://ishiwari.iwate.jp/pj/IswF6481801)を立ち上げ、ブランドPRと来年の春夏物制作費用の調達を目指している。返礼品の半袖と長袖のTシャツやエコバッグなどが初めての製品となる。
「いしわり」での募集期間は今月30日(金)までで、目標金額は50万円。6日現在で33人の協力を得ている。
製品は今後、インターネットで販売していく方針だが、セレクトショップなどへの出品も視野に入れる。「ブランドが軌道に乗って大きくなったら、いずれはショップ兼ショールームや工場を造りたい。雇用にもつなげられたら」と夢を描く熊谷さん。「ブランドを知ってもらえるように、成長させていきたい。まずは、すてきな洋服を作っていけるように頑張りたい」と力を込める。