太洋産業㈱ 破産に移行へ、民事再生手続きの廃止決定/大船渡
平成30年11月14日付 1面
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「タイサン」ブランドで知られ、大船渡市に主力工場を持つ水産加工販売の太洋産業㈱(本社・東京都中央区、松岡章代表取締役)は13日、東京地裁から民事再生手続き廃止決定と保全命令を受けた。今後、破産に移行する。
民間の信用調査会社、東京商工リサーチ盛岡支店によると、民事再生法申請時の負債総額は約49億4500万円。スポンサーからの支援を前提とした再生計画を進めていたが、スポンサー候補との交渉がまとまらず、再生計画の策定が頓挫。今回の措置に至った。
昭和19年に設立された同社は、サンマやサケなどの鮮冷魚や水産加工品を取り扱っており、昭和57年12月期には330億円余の売上高があった。
創業地の大船渡と北海道の釧路、根室に工場を展開し、生産体制を強化していたが、平成23年3月の東日本大震災で大船渡工場が被災。釧路、根室両工場にラインを移すなどしたものの生産量は減り、24年3月期の売上高は73億7252万円まで落ち込んだ。
近年は、サンマの不漁で利益が減少。経常利益ベースでは、22年3月期から29年3月期まで8期連続赤字と厳しい経営環境にあった。
こうした中、復興補助金の活用や子会社の売却で経営の立て直しを図っていたが、ここ数年、秋サケの不漁が続き、原材料の仕入れが激減したため、自力での再建を断念。今年7月9日に民事再生法の適用を申請し、同12日に再生手続き開始決定を受けていた。
民事再生法の申請時、大船渡工場には正社員10人、パート34人(うち9人は外国人研修生)の計44人が勤務。研修生を除く従業員は地元から雇用していた。民事再生手続きの廃止決定について、工場側では「こちらでは詳しいことは答えられない」とした。
今後、破産手続きに移行する中で、工場の操業や従業員の雇用がどうなるか、会社側の対応が注目される。