日本最大の政策コンテストでSETが最優秀賞に、シティズンシップ推進賞/陸前高田

▲ フェスト大賞の表彰式に出席した木村さん㊨と篠原さん㊧

 陸前高田市広田町を拠点に活動するNPO法人SET(三井俊介代表理事)は、このほど実施された日本最大の政策コンテスト「第13回マニフェスト大賞」(同実行委員会主催)で「シティズンシップ推進賞」における最優秀賞を受賞した。人口約3000人の広田町に5年間で延べ1000人以上の若者が訪れ、町民たちとともにまちづくり活動を行う「チェンジ・メーカー・スタディ・プログラム」(Change Maker Study Program、CMSP)の事業が高く評価された。最優秀賞は応募2242件中7件に与えられる栄誉で、同法人は「全国的なコンテストでこれまでの地道な取り組みを認めていただいたことは、今後の活動の支えになる」としている。

 

活動人口拡大事業が評価され

 

 マニフェスト大賞は、地方自治体の議会・首長等や地域主権を支える市民らの優れた活動を表彰するもの。地方創生を推進する人々を顕彰することで、さらなる意欲向上を期するとともに優れた取り組みを広め、地域間の切磋琢磨を推進しようという狙いがある。早稲田大学マニフェスト研究所、毎日新聞社が共催し、毎年実施されている。
 表彰は、マニフェスト推進賞、成果賞、政策提言賞、コミュニケーション戦略賞、シティズンシップ推進賞の5部門。SETは、公民教育・主権者教育や投票率向上に関する活動と政策提言、選挙における広報・啓発等を対象とするシティズンシップ推進賞において、優秀賞5件にノミネートされたうえ、このほど東京都で行われた表彰式の席上で最優秀賞の獲得を告げられた。
 SETは「まちづくりにおける行政からのトップダウン施策の限界」「人口増加施策の限界」の2点をふまえ、主に関東圏の大学生が町のためになるアクションを企画・実行・報告する1週間のプログラム(CMSP)を、震災後の平成25年からこれまで38回開催。年間約200人の大学生が参加しており、「町の中を若者が歩き、町民と交わる姿」が日常となることで、地域に大きな活力をもたらしている。
 町民との丁寧な関係性づくりを大事にし、プログラム参加者の3割近くがのちに運営側スタッフになるなど、継続的な活動につながる動きが定着。多くの若者が陸前高田へ移住するきっかけを生んでいるのみならず、補助金に頼らない自立的な財政基盤の確立を目指している点も審査委員から評価された。
 同実行委員会の人羅格審査委員は、「本賞はとても激戦だった。若い人たちが地域との関係性を築いており、本格的、持続的で、発展性があること、挑戦している点が優れている」と講評を述べた。
 表彰式には、同法人の木村聡さん(25)と篠原準哉さん(25)が出席。今回のマニフェストを作成したChange Maker事業部の木村さんは、「〝政策コンテスト〟ということで、実践中心のNPOが応募することは一見そぐわないのではとも考えたが、提案ベースのマニフェストではなく、実際に活動し成果を上げているという点を評価していただいたのでは」と控えめに喜びを語る。
 そのうえで、木村さんは「広田に人が訪れ続ける仕組みづくりを地道に行ってきた。それが数年がかりで実を結んでくれたということなのだと思う。これを弾みに、今まで行ってきた内容をより深いものにし、規模を拡大しながらも、これまでと同様、丁寧に活動を続けていきたい」と事業への意気込みを新たにした。