2018大船渡市長選/「継続」か「刷新」か、戸田氏と藤原氏の争いに
平成30年11月19日付 1面
7日間の舌戦スタート
投開票は25日
任期満了に伴う大船渡市長選は、18日に告示され、3選を目指す無所属の現職・戸田公明氏(69)=猪川町、国民民主推薦=と、元参議院議員で無所属の新人・藤原良信氏(67)=日頃市町=が立候補を届け出た。受け付け締め切りの午後5時までにほかの届け出はなく、両氏による一騎打ちが確定した。戸田氏は現職としての実績を踏まえ、復興計画の完遂など市政の「継続」を強調。藤原氏は、市政の「刷新」による新たな将来展望の必要性を訴え、7日間の選挙戦をスタートさせた。
(2、7面に関連記事)
12月2日(日)の任期満了に伴う今市長選は、昭和27年の市制施行から数えると通算19回目。三陸町との合併後は5回目、東日本大震災後は2回目となる。
立候補の届け出は、午前8時30分から午後5時まで市役所で行われた。戸田氏と藤原氏以外に届け出はなく、両氏による争いが確定。前回選に続き、現職と新人の一騎打ちとなった。
東日本大震災で甚大な被害を受けた同市では、発災から7年8カ月が経過した今も、復興のつち音が響く。一方で、平成32年度末に迫った復興計画の終了や復興庁、復興予算の廃止を見据えたまちづくりを考えなければならない時期にも来ている。
今選挙では、両氏が訴える「復興の先」の大船渡の姿と、それを実現するためのビジョン、施策に有権者がどのような判断を下すのかが大きな焦点となりそうだ。
投票は、25日(日)午前7時から午後7時まで市内40カ所で受け付け、同8時15分から盛町のリアスホールで即日開票される。大勢判明は、同10時ごろとなる見通し。
期日前投票は19日から24日(土)まで、市役所本庁、三陸支所、綾里、吉浜両地域振興出張所で受け付け。投票時間は午前8時30分からで、市役所本庁が午後8時まで、そのほか3カ所は同5時15分まで。市役所本庁では同期間中、不在者投票も受け付ける。
17日現在の有権者数は、3万1757人(男1万5123人、女1万6634人)。
戸田 公明 候補(無・現)
=国民民主推薦
「復興を遂げ次の時代へ」
大船渡町にある戸田候補の選挙事務所では、午前8時から神事を行い、必勝を祈願。第一声開始時には、支持者ら約500人が集まった。
水野公正総括責任者は「いよいよ決戦の時。後援会活動はここに来て、確かな手応えと浸透を感じている。この1週間の戦いで確かなものにし、心を一つにして頑張っていこう」とあいさつ。岩脇洋一選対本部長が、力を込めて支持を呼びかけた。
続いて、国民民主党県総支部連合会の黄川田徹代表が「戸田氏は、さらにさまざまな力を発揮するだろう。最後の最後まで応援をお願いしたい」と激励。田村誠県議も「三たび市長として送り出し、安心して住めるまちづくりに奮闘させてほしい」と語り、連合岩手の八幡博文会長、神崎浩之県議もエールを送った。
マイクを握った戸田候補は、後援会や支持者らの支援に感謝。そのうえで、3期目に向けて掲げた▽復興の総仕上げ、高齢化・人口減少の時代に対応する地域力の向上▽多様な地域課題の克服に挑戦し、地域産業を活性化して市民所得を向上させ、少子化に歯止めをかける──の市政目標に対する思いを語った。
このうち、復興の総仕上げに関しては、「復興計画を成し遂げ、世紀の復興大事業に幕引きをするにふさわしい施策を立案し、実行していかなければならない」と力説。人口減少対策への挑戦、地域課題の克服などにも意欲をみせた。
最後に、これまでの経験を踏まえ、「『豊かで安心安全な大船渡』と、『ともに創る 三陸の地に輝き躍動するまち 大船渡』の実現に向けて一生懸命皆さまと頑張っていく。そのためにも復興計画を早く終わらせ、次の時代に向けて新しいことをやっていかなければ」と決意を示した。
戸田候補は支持者らと握手を交わし、「ガンバロー」を三唱。多くの声援に気持ちを新たにし、遊説へと出発した。
藤原 良信 候補(無・新)
「将来展望持てるまちに」
盛町の㈱アマタケ駐車場での出陣式には、支持者ら約500人が集まった。宮澤信平総括責任者は「後援会組織をつくり、戦える土俵になった。市政を任せられる人は、藤原候補しかいない。もう少しで、抜けるところまで来ている。勝利を味わえるように」と訴えた。
引き続き、さいとう製菓㈱の齊藤俊明取締役会長が「県や国をつなぐ人脈を生かして、栄えるまち、豊かなまちに」、アマタケの甘竹秀雄相談役が「現市政は、経済対策がゼロ。藤原候補が大船渡の経済発展に尽力できるよう、お願いしたい」と、それぞれ推薦の言葉を述べた。
菅生新一選対本部長と鎌田和昭出納責任者は、いずれも浮動層の掘り起こしに向け、さらなる結束を呼びかけた。
マイクを握った藤原候補はまず、支持者に対して早朝からの参集に感謝。市議20人中11人が応援している自陣営にふれ「市政の進め方を身近に見ている立場の方々が過半数を超えていることが、何よりの実証」と自信をにじませた。
立候補に至った経緯では「将来の危機」を強調。「若い世代は、将来の展望が見えない。高齢者からは、孫や子の代に夢を描ける地域になるのかという声が届いてきた。事業者は、数年先には会社を閉じるかもしれないと思っている。今までの市政の進め方が、危機感につながっている。変えなきゃならないと思った」と、力を込めた。
県議時代から重視してきた、提案型の政治姿勢も力説。政策面では「(三陸沿岸道路に続く)第二の『命の道路』を提案し、実行する」と、大船渡と内陸部を結ぶ高規格路線整備などを掲げた。
第一声後は、参加者全員で「ガンバロー」を三唱。藤原候補は選挙カーに乗り込むと、「将来展望を持てるまちを、皆さんとともにつくっていく。孫や子の代に、しっかりとした大船渡市を」と声を上げながら市内遊説をスタートさせた。