2年連続グッドデザイン賞に、住田町での地域づくり事業
平成30年11月26日付 8面
「木と鉄」生かした取り組みで
住田町が進める「『たたら製鉄』による住田町のまちづくり」が、本年度のグッドデザイン賞を受賞した。町実施のプロジェクトでは、昨年も地場産木材などを生かした地域づくりが選ばれており、2年連続の快挙。地元資源である木と鉄を生かした取り組みで、関係者は今後の活性化や魅力拡大への意欲を高めている。
グッドデザイン賞は、公益財団法人日本デザイン振興会(川上元美会長)が主催。昭和32年の開始以来、社会や生活を取り巻くさまざまなモノ・コトを対象にデザインの質を評価・顕彰し、シンボルマークの「Gマーク」とともに親しまれている。
受賞によって「よいデザイン」であることが広まり、イメージアップや認知度向上などが期待される。本年度は4789件の応募があり、1353件が受賞した。
このうち、「『たたら製鉄』による住田町のまちづくり」には、町と一般社団法人邑サポート、せたまい町歩きガイド、ナグモデザイン事務所などが参画。町内で明治から大正期に操業していた栗木鉄山の歴史を学ぼうと、有住小学校5年生が毎年たたら製鉄体験を行っており、この体験を生かしながら新たなまちづくりにつなげようと展開してきた。
地元で採れた鉄鉱石などを活用し、取り出した鉄は世田米商店街周辺の名所や史跡に設置される「案内サイン」の支柱などとして活用。本年度内に10基程度をつくり、来訪者らが巡りやすい環境を整えることにしている。
町が事業主体となる取り組みでの受賞は、2年連続。昨年は「地場産木材と地場技術による地域づくり」で選ばれている。
この取り組みは、町内産素材活用と技術を用いた製品づくりに取り組み、各種イベントで活用される杉屋台や、町内全小中学生向けの学習机・いす、役場内などで生かされるベンチやパーテーション、新生児用玩具の制作を進めた。
たたら製鉄、地場産木材の取り組みは、ともに地元の自然資源と技術を使い、住田ならではのデザインづくりに向けて地道な活動を積み重ねてきたもの。取り組みに参画してきた関係者は相次ぐ受賞を喜ぶとともに、今後のさらなる活用に向けてアイデアを膨らませる。
製鉄を生かした案内サインづくりを進める「みんなでつくる景観まちづくり会議」を運営する町教育委員会では、「中心地域市街地活性化基本構想に基づく景観活用のまちづくりに生かすことで、今後の交流人口拡大が図られれば。受賞を通じて、まち歩きをはじめ、文化的資源のさらなる活用につながってほしい」としている。