2018大船渡市長選/現職・戸田氏が3選、有権者は「継続」選択

▲ 当選の報を受け、妻の範子さん㊨らと万歳をして喜ぶ戸田氏㊥=大船渡町

 任期満了に伴う大船渡市長選は25日、市内40カ所で投票が行われ、即日開票の結果、無所属の現職・戸田公明氏(69)=猪川町、国民民主推薦=が、元参議院議員で無所属の新人・藤原良信氏(67)=日頃市町=を1022票差で破り、3選を果たした。戸田氏は2期8年の実績をもとに市政の「継続」を掲げ、自ら立てた復興計画の完遂や復興後の持続可能なまちづくりを訴えて着実に支持を固め、勝利を収めた。藤原氏は復興後を見据え、県議、国政での経験を生かした市政の「刷新」を強調し、猛追を図ったが、あと一歩届かなかった。投票率は73・91%となり、過去最低だった前回選を6・57ポイント上回った。(7面に関連記事)

 

1022票差 藤原氏、猛追も届かず

 

 今市長選は12月2日(日)の任期満了に伴うもので、昭和27年の市制施行から数えると通算19回目。三陸町との合併後は5回目、東日本大震災後は2回目。
 平成26年の前回選で67・34%と、同市長選で初めて70%を割った投票率。今回は被災者の住まいの再建で地区ごとの有権者数にも変化がみられ、選挙権年齢が18歳に引き下げられて初の執行となるなど注目をされていたが、前哨戦段階からの激戦を反映し、70%台に回復。19日から24日に市内4カ所で行われた期日前投票の投票者数も5350人と、前回選比で約1・7倍となった。
 開票は、午後8時15分から盛町のリアスホールで行われた。会場には両陣営の関係者や市民らが足を運び、固唾をのんで票の行方を見守った。
 開票作業は順調に進み、同9時36分に開票結果が確定。戸田氏1万2074票、藤原氏1万1052票で、戸田氏が3選を飾った。
 当選した戸田氏は、今年2月に3期目への意欲を示し、5月に正式な立候補を表明。同氏後援会(水野公正会長)が中心となって過去の選挙戦を支えた組織を再構築し、前哨戦では公務の合間を縫って各地で「語る会」を開き、有権者との対話を重ねながら支持拡大を図った。
 告示後は、後援会が中心となった選対本部で臨戦。国民民主党県連や連合岩手、市漁協などが推薦し、共産党大船渡市委員会が自主支援した。同県連の黄川田徹代表や田村誠県議、市議7人が支持に回り、事務所開きや総決起大会では陸前高田市の戸羽太市長、住田町の神田謙一町長も応援に駆けつけた。
 複数の政党から推薦を得て、半数以上の市議が支持にまわった4年前の前回選に比べて厳しい戦いを強いられたが、復興計画を進め、各種市政課題の克服に努めてきた2期8年の実績を強調。市内各地域、各年代層に着実に浸透を図り、勝利に結びつけた。
 一方、藤原氏は2月に立候補を正式表明。同氏後援会(宮澤信平会長)では後援会組織を再構築し、同氏を推薦する事業所からなる企業連合会も組織。前哨戦では市内各地で「懇談会」を開催し、県議時代からの支持を固めながら、組織力を生かして新たな支持層の開拓も進めてきた。
 選挙戦でも組織力の強みを生かし、運動を展開した。自民党大船渡市支部と同党県日本財務振興支部が支援し、市議は半数を超える11人が支持。事務所開きや決起集会、第一声では市内事業所のトップらも出席してマイクを握り、支持を呼びかけた。
 県議、国政と26年間にわたる政治家としての実績や人脈をアピールし、現職の批判票を着実に取り込むなど激しい追い上げを見せたが届かず、涙をのんだ。
 戸田氏に対する当選証書付与式は、27日(火)午後2時から市役所地階大会議室で行われる。
 【戸田公明氏の略歴】
 昭和47年~平成18年、清水建設㈱勤務。同19年~22年、医療法人勝久会専務理事。22年、大船渡市長初当選。現在2期。昭和24年5月7日、三陸町吉浜生まれ。69歳。東北大卒。大船渡市猪川町字前田2の8。