買い物弱者に新たな〝足〟、大股地区住民を対象に/住田

▲ 社協の福祉車両で大股─世田米を往復

 住田町大股地区の地域協働組織・スマイルおおまた大股地区振興協議会(泉彰会長)と町社会福祉協議会(佐々木松久会長)は28日、自家用車などによる外出が不自由な住民を対象とした初の「おおまた買い物ツアー」を開催した。デイサービス送迎の空き時間を活用して福祉車両を確保し、地区内の自宅から商店街がある世田米地区を往復。早速、住民と店舗関係者双方から好評の声が寄せられ、両協議会では当面月2回ペースで続けることにしている。

 

自宅から商店街に送迎
福祉車両の空き時間活用

 

 スマイルおおまたは、町が進める「小さな拠点づくり」の一環で昨年9月に立ち上がった。持続可能な地域運営を見据え、住民が主体的に活動できる体制づくりを進めている。
 発足当初から寄せられた住民の困りごとの一つが、買い物をする場所の確保。大股地区内の小売店は閉店が続き、徒歩圏内に店舗がない住民が増えている。
 解決を図りたい半面、独自の移動手段確保では経費がかさむ。そこで、町社協と連携し、朝や夕方の時間帯を中心にデイサービス送迎で用いる福祉車両の空き時間を活用。地区内の高齢世帯や障害者世帯などを対象に、初の「買い物ツアー」を企画した。

買い物をじっくりと楽しむ住民たち

 初日は80代の女性2人が参加。大股地区公民館を出発した車両は、それぞれの自宅前に出向いたあと、世田米商店街を目指した。
 参加者は商店街沿いに構える店舗数軒を〝はしご〟し、食品や衣料品を購入。最初から考えていた商品だけでなく、店舗関係者から出来たての総菜をすすめられて購入するなど、店舗に出向く買い物の楽しさも満喫した。
 参加した菊池トキ子さん(86)「週末は息子と一緒に買い物できるけど、平日はたいへん。車に荷物も置けるし、とても助かる。これからも使いたい」と語り、笑顔を見せた。
 迎えた店舗関係者からも「バスを2時間待つといったお客さんもいて、こっちが送ることもある。とくに、冬場の買い物は厳しいので、いい事業だと思う」などと、歓迎の声が聞かれた。
 ツアーは本年度中、月2回のペースで続ける予定。買い物に困る地区住民であれば、無料で利用できる。午後の運行や昼食をはさむなど、より住民が利用しやすいよう検討を続ける。
 スマイルおおまたの事務局を務める紺野和美さん(33)は「社協さんとの連携がなければ、事業は難しかった。参加者から『良かったよ』との声を聞けたのが何より。お店に行けば、自ら手に取って選ぶ楽しさがあるので、今後も支えていきたい」と話している。