東京に「ケラッセ」開店、住田での経験生かし/坂東シェフがチーフに(別写真あり)

▲ 東京の新店舗で「三陸のおいしさを楽しんでもらいたい」と意気込む坂東さん

 東京都新宿区にこのほど、気仙をはじめ三陸産の食材を生かしたワイン食堂「kerasse Tokyo(ケラッセ東京)」がオープンした。チーフシェフを務めるのは、住田町のまち家世田米駅内にあるレストラン「すみたのだいどころ kerasse」で腕を振るってきた坂東誠さん(46)。住田に定住して生産者らと交流を深めた経験を生かし、当面はこの店舗を拠点に開拓を図る。来年以降は住田を拠点にコンサルタント事業も立ち上げるなど、新たなステージで〝食の誇り〟の発信を目指す。

 

三陸食材 もっと広がりを
〝食の誇り〟発信に意欲

 

 ケラッセ東京は、都営大江戸線・若松河田駅から徒歩3分の路面店で、先月26日にオープン。店舗前には、住田の「ケラッセ」と同様に、手書きスタイルのメニュー看板が並ぶ。
 通り掛かった人が足を止めて看板に目を通し、営業時間帯などをスタッフに尋ねる光景がよく見られる。岩手に縁がある客が多く足を運ぶほか、すでにリピーターも生まれている。
 運営は、首都圏で展開する高級食パン専門店「考えた人すごいわ」など14店舗を取りまとめるオーネスティグループ(本社・埼玉県所沢市、大舘誠代表取締役)。三陸産食材を生かした新たな〝開拓〟を描いていた坂東さんに沿った営業スタイルで、新店舗を開いた。
 坂東さんは東日本大震災前、東京都内でシェフを務めていたが、仮設住宅団地での料理教室事業で木造仮設団地を訪れた縁から、平成28年10月に住田への定住を決意。以降、同年に開業したばかりのケラッセで地元食材を生かしながら腕を振るうとともに、料理教室や食材の魅力を発信するイベントなどの企画・運営も進め、まち家世田米駅の交流人口拡大に大きく貢献してきた。
 新たな事業展開については「住田のケラッセもまだまだの段階ではあるが、もう一度消費のスピードが早い首都圏で勝負をしようと思った」と語る。言葉の響きがよく、住田の縁も生かしていこうと店名に「ケラッセ」を入れた。
 店内では、南部鉄器で焼き上げた「海藻入りフォカッチャ」をお通しで提供。住田で生産されたありすポークの煮込み料理のほか、八木沢商店(陸前高田市)のみそを生かした「三陸鮮魚のなめろう」、丸橋とうふ店(大船渡市)の製品を生かしたメニューなど、気仙にちなんだ品々を充実させている。
 2年にわたる住田定住での経験をふまえ、坂東さんは「生産者の暮らしの風景が見え、食材への思いが強まった。食材の〝宝物〟がたくさんある半面、その良さに住んでいる人が気づいていないということも感じた。東京のこの店舗は、繁華街ではない二等立地ではあるが、三陸の食材をキーワードにどの客層にも対応して『やればできる』を示したい。食にたずさわる人々の誇りを大切にしたい」と語る。
 住田のケラッセに対する企画提案などは今後も続け、来年以降は町の起業奨励金を生かして、コンサルタント事業を展開する考え。「まずは住田から食のイベントや商品開発を進めたり、生産者と消費者の交流もやっていきたい」と、力を込める。