自宅生活望む回答多く 、訪看事業に向けアンケート/住田

 医療資源不足の補完に向けて住田町内での訪問看護ステーション開設を目指す一般社団法人未来かなえ機構(代表理事・滝田有気仙医師会長)と同町は、10~11月にかけて町内全世帯を対象に実施した訪問看護事業に関するアンケート調査の結果をまとめた。認知症ケアや医療処置への期待が高いほか、一人で生活ができなくなった場合でも自宅で過ごしたいと考えている回答が約3割に上り、在宅支援充実の必要性が浮き彫りに。同ステーションは来年2月の開設を予定し、同機構では地域の実情に合った事業展開を見据える。

 

「在宅支援」より重要に

 

 町内で一昨年、昨年と民間医科診療所の閉院が相次いだ中、町は看護師で支える地域づくりを見据え、その事業拠点となる訪問看護ステーション設置を目指してきた。町の要請を受け、準備や検討の中心役を担ってきた同機構が、開設後も運営する。
 よりよい事業にするためのニーズ把握や、事業の住民周知を図ろうと、初めてアンケートを実施。調査用紙は町内約2000世帯に郵送したほか、10月28日に行われた町産業まつりでも調査。全体の25%に当たる510人から回答を得た。
 年齢別にみると60歳代が145人、70歳代が154人、80歳代以上が122人と、中高年層での回答が大半を占めた。「現在、保健・医療・福祉のサービスを利用しているか」の問いでは、「利用していない」が358人だった。
 一方、「利用している」は139人で、このうち回答者本人の利用は48人。親の利用は66人、配偶者の利用は26人だった。
 訪問看護については「知っている」が279人で、「聞いたことがある」は177人。「知らない」は42人にとどまり、訪問看護の認知の広がりがうかがえた。
 「あなたや家族が訪問看護を利用する時に『受けたい』と思うものは」(複数回答可)の問い=別図参照=で、最も多かった回答は「認知症ケア」で241人。次いで「医師の指示による医療処置(点滴の管理、傷の手当てなど)」が236人だった。
 また、「家族への介護の方法の相談」は207人。「からだを拭いたり、入浴の介助」「血圧や体温など、からだの様子を見る」「がんや『看取り』の援助」への回答も多かった。
 「今後一人で生活できなくなった場合、どこで生活を送りたいですか」との問い=同=では、「介護施設」が197人と最多。一方で「自宅」も156人に上り、在宅支援の必要性が浮き彫りとなっている。「分からない」と答えたのは106人で、以下「病院」16人、「子ども宅」14人と続いた。
 自由記載では「義母の介護をしていたが、その時に痰の吸引に不安があった」「自宅で医療サービスが受けたい人にとっては、訪問看護はとてもありがたい」「早く目に見える形になってほしい」と、期待がにじみ出る回答が複数寄せられた。一方、訪問看護のみならず医療面での相談充実や買い物支援を求める意見もあり、高齢化が進行する中での生活不安もあらわになった。
 訪問看護ステーションの事務所は、世田米の町保健福祉センター内に設置。職員体制は5人程度を見込む。
 看護師らの採用は来年1月からを予定。スタッフが固まり次第、町内各地区ごとに説明会を開き、地域住民に事業内容などの周知を図る。
 2年後をめどに看護小規模多機能施設整備も目指すほか、子どもや障害者を含めた共生型の地域づくりも見据える。採用や事業への問い合わせは同機構(同センター内、℡22・7261)へ。