地域還元へ計画案承認、荷沢峠での風力発電整備に向けた再生可能エネ推進協/住田

▲ 10月以来2回目の開催となった協議会

 住田、遠野両市町にまたがる地域で整備する住田遠野風力発電事業(仮称)の施設整備や売電収入を生かした地域活性化などを協議する第2回住田町再生可能エネルギー推進協議会(会長・紺野勝利農政課長、委員9人)は4日、町役場で開かれた。農山漁村再生可能エネルギー法に基づく基本計画案を協議し、ほぼ原案通り承認。売電収益の一部を資金協力し、下有住・火の土地域などでの農林業振興や地域振興に還元する方針が盛り込まれた。
 風力発電整備は㈱グリーンパワーインベストメント(本社・東京都、坂木満社長)が計画。町が設置した協議会は、昨年10月以来の開催で、この日は代理出席を含め8人が出席した。冒頭、紺野会長は「計画をより良いものにしていくため、ご協力を」と述べた。
 協議では、同法に基づく基本計画案を審議。事務局は、基本計画の必要性や法律上の規定を説明したうえで▽地域の特徴ある資源を生かして、どのような種類、規模で再生可能エネルギー発電を促進するか▽どのような農林業の健全な発展につながる取り組みを行うか。また、売電収入の活用を含めて費用負担のあり方をどうするか──などを協議事項として挙げた。
 案によると、農業上の利用が低い遊休農地などを活用し、地域活力の向上や活性化に結びつける。さらに、発電事業によって得た収益の一部を地域に還元し、住田町の農林業の活性化や雇用創出に結びつけ、地域経済活性化や地域振興を図るとしている。
 整備区域は下有住火の土地内の牧場など242万平方㍍で、実際の利用面積は12万7000平方㍍。4200㌔㍗の風力発電機11基を、2023年度までに設置するとしている。
 事業者は、火の土地域などで発電で得られる売電収益の一部を資金協力し、地域の農林業の健全な発展や地域の活性化に寄与する。具体的内容は、事業者と地域が協議して決める。
 整備にあたっては、自然環境の保全と調和、景観との調和、周辺住民の生活環境などに配慮。撤去時は、設備整備者側で土地の原状回復を行う。
 委員からは対象地となる採草放牧地が農業振興地域指定が外される影響を問う発言があり、事務局側では「特に大きな支障はない」と回答。このほか「完成は5年後であり、地域としても具体的に振興策を提案できない状況。地元密着で相談できる体制を続けてほしい」との指摘もあった。計画自体に異論は出ず、ほぼ原案通り承認した。
 風力発電機は遠野市側を合わせて、28基設置する計画。総事業費は約300億円とみている。
 着工目標は2020年4月で、工事完工目標は2023年3月。整備によって町は20年間で15億円程度の税収増を見込む。事業者側では建設、運転保守業務などで地元採用を進める。
 計画は、農業振興地域除外手続きなどを経て正式決定となる。次回の協議会は来年度に設け、策定した計画内容の確認などを行うことにしている。