楽しむためのリスク管理を、初の野外体験指導者講座で安全確保のポイント学ぶ/住田で

▲ 安全確保に必要な知識を伝えた金野さん(写真奥右)

 学校での授業や子ども向けの地区行事、生涯学習などで野外活動体験の機会が増えている中、住田町世田米の住民交流拠点施設・まち家世田米駅で8日、初の野外体験指導者向け講座が開かれた。参加者は安全・安心に楽しむためのリスク管理などを学習し、さまざまな角度からの〝気づき〟や事前準備の大切さを再確認した。1~3月の間には、実践編として屋外での講座も行われる。

 

来年には実践編も

 

 この講座は、上有住に拠点を構える「Puu Station(プーステーション)」(金野正史代表)が主催。金野代表(31)はこれまで、町の地域おこし協力隊員として森林や自然を生かした体験をしたい人々を支え、実践できる場づくりに取り組んできた。
 今回は、子どもたちに野外体験活動をさせたいと考える保護者や教育、地域の団体関係者、実際に企画している人々向けに初めて企画。町内外から5人が参加した。
 午前の講座では、金野代表が野外活動体験を行う際のリスク把握などについて解説。自然体験活動では過去に起きた事故をはじめとした「顕在リスク」だけでなく、つい見落としがちな「潜在リスク」も多いとし、気づく能力を高めるトレーニングや知識・経験を取得する機会づくりの重要性を挙げた。
 活動における安全管理では▽現場説明▽天候判断▽事前視察──を3本柱として強調。このうち、天候判断に関しては「最新の気象情報と活動エリアの気象環境の把握はもちろんだが、催行するかどうかの基準は風速や水量など客観的な数値で判断を」と述べた。 
 危険箇所の把握だけでなく、スタッフの慣れや疲労、連絡不足などがもたらす「ヒューマンエラー」にも言及。事故や危機が発生した際にどう対応するかを準備しておく「クライシスマネージメント」の考え方にもふれ、2次災害の防止や記録を残す習慣づけの大切さなどを伝えた。
 引き続き行われたワークショップでは、金野代表が示した野外活動時の写真をもとに、予想される危険を出し合った。各出席者のさまざまな〝気づき〟を共有し、安全確保を充実させるためのリスク管理につながる判断力や注意力を高めた。
 午後は、久慈市ふるさと体験学習協会の菊池一弘さん(39)を講師に招き、安全確保策などを学習。参加者は自らの自然体験活動を振り返りながら、実践に向けて意識を高めていた。
 参加した岩手大学農学部3年の近藤雄太さん(21)は「よく森林散策の活動に参加しているほか、大学の調査やサークル活動などで自然に入る機会が多く、参考になった」と話していた。
 来年1~3月には屋外で実践編も行うことにしている。今後の講座に関する申し込み、問い合わせは金野代表(上有住地区公民館内、℡48・2013)へ。