震災7年9カ月 増える孤独死、今年の県内災害公営住宅 10月末で過去最多の15件

 東日本大震災の被災者が入居する県内の災害公営住宅で、今年の孤独死件数が10月31日現在で過去最多の15件に上っていることが分かった。このほど行われた県議会12月定例会の一般質問で、県当局の答弁を通じて明らかになった。このうち、気仙の災害公営住宅での孤独死は3件。大幅な増加はみられないものの、今後、行政と地域が連携し、孤独死の防止に向けたよりきめ細かい支援を展開していくことが求められる。

 

よりきめ細やかな支援必要

 

 今年の孤独死件数は、斉藤信議員(盛岡選挙区選出)の質問に対する答弁で県当局が明らかにした。
 それによると、震災以降、単身世帯で亡くなり、後に発見された人は応急仮設住宅で44人、災害公営住宅で31人。
 このうち、災害公営住宅での孤独死は平成25年が1人、26年が2人、27年が3人、28年が4人、29年が6人で年々増加。今年は、10月末現在ですでに過去最多の15人が亡くなっている。全員が沿岸部の災害公営住宅に入居する60歳以上の人で、男性が11人、女性が4人。
 災害公営住宅の整備が進み入居者数そのものが増えたことや、震災前とは異なるコミュニティーになじめずに孤立していることなどが孤独死増加につながっているとみられる。
 一方で、応急仮設住宅での孤独死は、転居や集約化による入居者の減少もあり、26年の9件をピークとして27年は5件、28年は6件、29年は5件と少なくなっている。今年は10月末で1件。
 孤独死を防ごうと、県は県社協とともに生活支援相談員を配置し、市町村の支援員と連携しての被災者の個別支援にも取り組んでいる。
 また、本年度からは有識者らによる検証会の実施など、中長期的な見守り体制の充実を図るための取り組みも行われている。
 気仙両市の災害公営住宅は、大船渡市で市営22団地、県営3団地の計801戸、陸前高田市で市営10団地、県営1団地の計895戸の建設が平成29年度までにすべて完了した。
 現在は、両市合わせて約2600人が入居。65歳以上の入居者が全体の4割を占め、そのうち単身世帯は2割弱となっている。
 大船渡地区合同庁舎内には震災後、「被災者相談支援センター」が設けられ、被災者の相談に随時対応しているほか、県として団地内の自治会設立にも協力するなど、新たなコミュニティー形成の支援も行っている。
 このほか、気仙では各種団体や団地ごとにさまざまな取り組みが展開されており、孤独死の大幅な増加はみられないが、沿岸部全体としてみるとその数は増加傾向にあり、予断を許さない状況だ。