「1車線+2歩道」で提言へ、昭和橋景観検討委員会で架け替え時の構造協議/住田

▲ 専用歩道がない現在の昭和橋。新橋は両側に歩道が設けられる方向で今後調整が進む

 県大船渡土木センター住田整備事務所と住田町による昭和橋景観検討委員会(委員長・柴田久福岡大学工学部教授、委員8人)の第2回会合は11日夜、町役場で開かれた。景観などに配慮した架替計画立案に向けて橋の基本構造を協議し、利便性に加え欄干部の景観性を確保できるデザインの自由度などを考慮して「1車線+2歩道」の整備を提言する方針を決めた。橋周辺では、親水性や多様な生物保全を確保する護岸整備の方向性も確認。同事務所は、来年9月に詳細設計をまとめ、その後4年程度で新橋完成を目指す。

 

デザインの自由度など考慮

 

 気仙川に架かる町管理の昭和橋は昭和8年に架橋し、世田米商店街と役場などがある川向地区を結ぶ。県による治水対策の一環での架け替えを控え、景観や橋上利用を含めたまちづくりなどの観点で計画案を審議する検討委員会が設けられた。
 9月以来の開催で、この日は委員8人が出席。会議は公開され、住民ら約20人が傍聴に訪れた。
 前回協議は現行位置で架け替えを行う方針を確認。橋の基本構造は▽現行幅員による歩道専用化▽1車線▽歩道付き1車線──の3案に絞ったが、今回の協議では事務局側はこれらに加え、新たに橋の両側に歩道を備えた「1車線+2歩道」を含む6案を提案。それぞれの優位性を比較した。
 説明によると、両側歩道の場合、歩行者の安全性や利便性確保につながるほか、両側欄干部の防護柵は歩行者・自転車用となる。1車線や片側歩道の場合は、半壁式の剛性防護柵を整備しなければならず、外観の印象が大きく変化することが予想される。
 歩行者・自転車用の場合、周囲の景観となじむ透過性が確保されるほか、歩行者の眺望にもすぐれ、デザインの自由度も広がる。こうしたメリットが評価され、委員会としては「1車線+2歩道」の整備を提案する方針を決めた。
 現在の昭和橋の幅は約4㍍で専用歩道はなく、現段階の構想では3・8㍍ほど広くなる。議論では、世田米商店街側の町道が狭いため、橋の取り付けのあり方に注目する意見も。また、現在の昭和橋よりも橋としての機能が増すため、町による財源負担の可能性もあり、こうした調整が今後の課題となる。
 治水安全性の確保に向け、町道との接続部の路面高は1・5〜1・6㍍高くなる見込み。勾配がつくことで、橋中央部は1・85㍍高くなることも示された。
 護岸部の改修も必要となるが、事務局側では川のさまざまな恵みを地域資源として活用できるようなデザインで進めると説明。現在はコンクリートの護岸部が目立つが、今後の整備では水際の部分は自然素材の土や岩などを配置してゆるやかに護岸部に入り、緑に包まれるような景観を目指す。
 事務局側では、橋の周辺に親水空間を設ける構想も明かした。また、新橋整備期間中は、歩行者用の仮橋も整備するとしている。
 次回の委員会は来年2月を予定。県側では9月をめどに詳細設計を完了したい考え。以降、設計完了後の用地調整などに半年〜1年、工事は3年程度が見込まれるという。