住民への説明会 「早期開催難しい」と当局、木工2組合の債権回収問題で/住田町議会一般質問

▲ 2日目の一般質問にも4議員が登壇

 住田町議会12月定例会は12日、前日に続き一般質問が行われ、佐々木信一(無所属)林﨑幸正(同)佐々木春一(日本共産党)佐々木初雄(同)の4議員が登壇した。世田米で木工団地を形成する三陸木材高次加工協同組合(三木)と協同組合さんりくランバー(ランバー)の計10億円超に及ぶ債権回収問題を巡り、議員側は早期に住民説明会を開くべきと強調。当局は10月に立ち上げた対策チームでの検討状況などをふまえて行いたいとし、早期開催は難しいとの見解を繰り返した。

 

 町が債権回収を求めて行った両事業体や連帯保証人らを相手にした調停は8月、不成立に終わった。これを受け、議会や町長、副町長、担当課職員、町顧問の8人による対策チームを設け、10月31日に初会合を開催。これまでの経過を確認し、今後の進め方などに関して意見を交わした。
 対策チーム内では今後、町ができる動き、事業体ができる動きをそれぞれ整理し、顧問弁護士や公認会計士らの助言を受けながら、取り組む方向性を見定めるとしている。
 この問題を取り上げたのは林﨑議員。11月の議会懇談会でも住民からこの問題での発言が多かったとしたうえで、「もう一度、町民に説明すべき」と迫った。
 横澤孝副町長はチーム内で方向性がある程度固まった時点での開催がふさわしいとの認識を示し、「今はまだ、その段階ではない」と答弁。林﨑議員は「町民はそう思っていない。ギャップがある。債務者(三木、ランバー経営陣)も連れて各地区を回るべき」と食い下がったが、横澤副町長は対策チームでの協議内容をふまえて行うべきとの考えを繰り返し、議論は平行線に終わった。
 トップ登壇の佐々木信議員は、滝観洞に隣接し、東日本大震災以降は入洞禁止となっている白蓮洞について質問。早期に入洞を再開すべきとの観点から、論戦を交わした。
 神田謙一町長は、洞窟内の安全確認調査や落石除去、老朽化した階段部分の修繕、非常用設備の導入といった課題を挙げたうえで「相当な経費がかかる。休止という状態を継続せざるをえない」と述べた。
 再質問で佐々木信議員は、再開に必要な経費見込みや、再開時期を追及。紺野勝利農政課長は「経費がどのくらいかかるかは、把握していない。入り口時点で落石があり、すぐ奥にも落ちそうなものが見える状態で、専門家でなければ(経費の算出は)難しい状況」「震災以前にも老朽化や改修の必要性があった。時期に関しても見込みが立っていない」などと語った。
 佐々木春議員は、震災前は解体、更地にする予定だった旧下有住小学校の対応を取り上げた。グラウンドに整備された木造仮設住宅は再来年3月で供用を終了する予定となっており、「跡地利用をどうする考えか」と迫った。
 神田町長は隣接地での下有住地区公民館整備と合わせ、グラウンドなどに関しては公園としての整備要望があったと説明。一方、東日本大震災以降の情勢変化に加え、仮設住宅に入居利用がある段階では被災者の生活再建を優先すべきとし、「状況を見ながら検討したい」と述べるなど、具体策の明言は避けた。
 佐々木春議員はさらに、同じ下有住にあり、震災で天井や壁が崩壊した状態の旧JA畜産会館を早期に解体すべきと提言。神田町長は危険性などに理解を示し、「総合的に判断したい」と答えた。
 高齢化対策を取り上げた佐々木初議員は、町内の1人暮らし高齢者世帯が全体の2割に達し、高齢夫婦の2人暮らしを含めると3分の1以上に上る中、介護予防の重要性を強調。一方で、ミニデイサービスの利用者は減少しているとし、対策を質した。
 これに対し、佐々木光彦保健福祉課長は「確かに、始めた当初に比べれば減っている。個別にサービス事業を案内していきたい」と答弁。運動に特化したリハビリ事業もふれながら、地域や住民の実情に合った予防策展開を進める姿勢を示した。
 また、災害時の避難行動充実策を問われた神田町長は、今年2月時点で145人が災害時要援護者登録され、関係機関と情報を共有している現状を説明。さらに「名簿にない要支援者に対しても、地域ごとに直接訪問での安否確認が行われ、場合によっては避難誘導もしている。共助による防災体制が構築されているが、さらに円滑に進むよう関係機関との連携を強化したい」と述べた。