「気仙大橋」本体が完成、17日夜から供用開始/陸前高田

▲ 復旧した気仙大橋。右側の仮橋は31年度に撤去される

 東日本大震災津波で全壊し、仮橋が設置されている陸前高田市気仙町の国道45号「気仙大橋」の復旧工事が完了した。気仙川に架かり、本県沿岸から宮城県に通じる重要交通ルートの〝要〟が震災発生から7年9カ月を経て本復旧。17日(月)午後9時、仮橋から新たな橋へと道路が切り替わり、供用開始される予定で、現在、舗装など仕上げ工事が行われている。津波被害を避けるために被災前より高く整備されており、安心安全な交通ネットワークや利便性が確保される。

 

震災7年9カ月、交通の〝要〟が復旧

 

 被災した気仙大橋は、延長181・5㍍、幅員12・5㍍。国道45号「高田バイパス」の整備に合わせて建設され、昭和57年に完成した。
 陸前高田と宮城県方面を結び、物流や観光振興などに重要な役割を担っていたが、津波で橋りょうが大破。橋げたは上流側に約300㍍も押し流され、津波のあとには橋脚のみが残った。
 震災からの復旧に向けて早期に交通路を確保しようと、国交省三陸国道事務所は平成23年5月、仮橋の下部工基礎打設に取りかかり、同年7月、発災121日目にして仮橋の開通を果たした。
 本復旧は、26年2月に着手。橋両端の橋台や橋脚整備といった下部工工事に2年ほどをかけ、上部工工事は29年度内に完了。その後は橋げたの床部分に当たるコンクリート製の床版の整備とアスファルト舗装工などが行われてきた。
 復旧した橋は延長201㍍、幅員15・5㍍。車道の両側に整備される歩道の幅は3・5㍍で、旧橋よりそれぞれ1・5㍍拡幅された。
 路面までの高さは、T・P(東京湾平均海面)12㍍。東日本大震災クラスの津波でも浸水しないよう、旧橋よりも4㍍ほど高く整備された。歩道の拡幅などにより、走行性、安全性も向上する。
 気仙大橋の復旧に合わせ、気仙町三本松の交差点付近から同町中堰まで約1・3㌔区間で道路が切り替わることとなっており、現在は橋の前後で切り替え工事が盛んに行われている。
 これまで地域の交通の要として車両通行を支え続けてきた仮橋は、新たな橋の完成に伴って31年度から撤去作業が行われる。
 一方、新たな橋の前後の海側歩道部分は、仮橋の撤去後に整備する計画となっているため、歩道工事完了は31年度以降となる。
 三陸国道事務所大船渡維持出張所の佐藤正所長は「橋前後の区間はまだ工事が残っているが早急に完成させ、安全安心な道路の確保に努めていきたい」と力を込める。
 交通切り替え後も周辺では引き続き工事が行われることから、同事務所では、安全運転への協力を呼びかけている。
 道路切り替え後の通行方法については、三陸国道事務所のホームページ(http://www.thr.mlit.go.jp/sanriku/)でも確認できる。