農業から「食」盛り上げよう、若手生産者が新グループ/陸前高田

▲ 来年1月16日に行われる設立記念講演のポスターを手にする松田さん㊨と菊地さん

 陸前高田市の若手農業者有志が、営農に関する知識と技術を高め合うとともに、「食」に携わる異業種とのつながりを築こうと、新たなグループを結成し、来年1月16日(水)に設立総会を開く。賛同者を募りながら研修や視察を重ね、ネットワークを生かして農業の持続的発展、地域活性化へのアイデアや事業を打ち出していく。

 

異業種とのネットワーク構築へ


 グループ名は「陸前高田 食と農の森」。現在の構成メンバーは8人で、このうち7人は東日本大震災後に同市で新規就農した。
 国は農業者の深刻な高齢化を背景に、45歳以下の青年就農者に年間150万円を最長7年間給付する制度を創設。新規の就農者は気仙でも見られる一方で、独立就農後の経営を軌道に乗せる壁は高いといい、「国からの給付終了後も自立し、農業を職業選択の一つとしたい」という願いを実現させるため、同グループを立ち上げることとした。
 グループでは、連作できない作物を手がける農業者に、別の休耕地を貸すなどメンバー間で連携を図りながら、流通業界や飲食店関係者、バイヤーを講師に招いての講習会、視察を実施する計画。異業種の関係者にも参画を呼びかけ、将来的には第1~3次産業が一体となった「食ビジネス」として活動を発展させていきたい考え。
 震災を機に、千葉県千葉市から母の実家がある陸前高田市に移住した菊地康智さん(34)=米崎町=は、本県では珍しいショウガの栽培に挑戦して4年目。「他の作物を栽培する人と知り合える機会は意外と少ない。修業中の身だからこそ、経営のノウハウを伝え合うなど刺激し合えるつながりが必要」と意義について語る。
 グループ設立の発起人で、平成23年からイチゴ栽培に取り組む松田俊一さん(34)=横田町=は「新規就農者も最終的には必ず自立しなければならない。農業で食べていける仕組みづくりを、自分たちなりに考えていきたい」と力を込める。
 1月16日は、米崎町の市総合営農指導センターで設立総会を開き、同会場で午後3時から記念講演を行う。講師は東京農業大名誉教授の門間敏幸氏。「三陸型園芸産地をどう作るか」をテーマに講演する。
 記念講演は参加無料で、農業に関心のある人など誰でも聴講可。当日参加も可能だが、事務局は事前の申し込みを呼びかける。
 申し込み方法はFAX、メールで。申込先は、一般社団法人SAVE TAKATA内の「陸前高田 食と農の森」事務局(℡47・3287、FAX47・3289、メールrt.syokutonounomori@gmail.com)。問い合わせも同じ。