「どん菓子」広がる可能性、合同会社が町産玄米を原材料に商品化/住田

▲ どん菓子製品の多彩な展開を見据える菊池さん㊨と、シカの角を生かしたアクセサリーを手がける松尾さん

 住田町内の若者たちが立ち上げた合同会社・HUB(ハブ)が製造する「どん菓子」製品が、健康食としての販路拡大を見据えながら多彩な展開を見せている。町産の玄米などを材料とし、シリアル食品として打ち出すなど、新たな需要の掘り起こしを狙う。町内で捕獲されたシカの角を利用した日用品製作も進め、幅広い角度から〝住田産〟の進出を図る。

 

健康食展開に活路、シカ角活用にも意欲

 

 ハブは昨年度、地域おこし協力隊として五葉地区に配属された菊池顕さん(31)と、農業を営む佐藤道太さん(34)=下有住、町観光協会事務局の佐々木康行さん(42)=世田米=らが設立。地域活性化につながる商品開発や販売、イベント実施を見据える。
 菊池さんは協力隊員として、地区内の観光資源や食品分野での企画・開発、地域振興の推進などを進める観光資源プランナーの役割を担っている。その中で、製造時に火縄銃にも負けない爆発音が響き渡る、どん菓子に着目した。
 どん菓子は、製造機に米などを入れて加熱し、内部の圧力を一気に開放すると出来上がる。製造は豪快だが素朴な味に仕上がり、近年は健康食品としての注目も高まっている。
 ハブでは大麦を加えてサクサクした食感を高めたほか、従来にはなかった味として「南蛮黒こしょう味」などを販売。昨夏から販売を始め、イベントでの出展などを通じて認知度を高めてきた。
 消費者やイベント来訪者らの声を生かし、新たな製品づくりにも着手。「食べにくい」などの声に応え、小麦粉によるマカロニをどん菓子の製造機に入れて膨らませた「火縄風マカロニどん菓子ズドーン」などを開発した。
 さらに、パラパラとした形状を逆手に取り、普及が進むシリアル製品のように牛乳やヨーグルトをかけて味わえるようにと「玄米&大麦パフ」としても商品化。国産・無添加で、食物繊維が豊富に含まれているなど、健康食としての良さもアピールする。
 1袋200㌘入りを、540円で販売。すでに盛岡市のアネックスカワトクで並び始め、好評を集めている。ハブのネット販売(https://hubhub.thebase.in/)では現在、割引価格で取り扱っているほか、来月以降は気仙各地の物産店でも購入できる。
 菊池さんは「どん菓子にはどうしても『子ども向け』『地味なお菓子』といったイメージがつきまとうが、そのイメージをどう打破していくかを考えている。玄米は健康食として関心が高い半面、自分で炊くのには煩わしさを感じている消費者も多く、この商品ならば手軽さをアピールできる」と語る。
 菊池さんは昨年、狩猟免許も取得。今年に入りシカ猟も行っており、自らが捕獲したシカの角や知人から譲り受けたものを生かした商品化にも着手。天然石アクセサリーを製造する松尾純子さん(42)=盛岡市=の協力を得て、キーホルダーや靴べらなど日用品の製造にも取り組んでいる。
 「角自体に彫刻や染色ができるなど、制作の幅広さが魅力」と話す松尾さん。来月以降、気仙地区外で開かれるイベント出展を控えており、菊池さんは「こうした商品でも、住田の魅力を発信していきたい」と、意欲を見せる。