包括業務委託先が決定、共立メンテナンスが受託/陸前高田市

▲ 共立メンテナンスが陸前高田市の行政事務包括業務を受託

行政事務の一部民間に

 平成31年度から導入する「行政事務の包括業務委託」にかかり陸前高田市は27日、㈱共立メンテナンス(本社・東京都千代田区、上田卓味代表取締役社長)を業務委託先に決定したとし、同社との共同記者会見を開いた。両者は民間活力を活用した行政運営の効率化と経費削減を図るとともに、市民サービスの向上にも努めるとする。
 同市の職員体制は本年度、正職員250人、派遣および任期付き職員131人、嘱託・臨時職員135人の計516人。29年度における税収が約18億円であるのに対し、人件費が24億円にのぼることから、復興・創生期間終了後の人件費縮減を見据え、行政の核となる政策や管理部門等を除いた窓口業務などの一部を民間に委託する「行政事務の包括業務委託」を新年度から導入する。
 開始にあたって市は今月、業務を委託する事業者をプロポーザル方式で選定。学生寮、社会人寮の管理運営、ビジネスホテル、高齢者向け住宅の運営などを手がける共立メンテナンスを委託先とし、この日は共同で記者会見を開いた。
 戸羽太市長は「新しい体制づくりを進めるにあたっては、市民サービスの質を落とさず、経費も削減していかねばならない。民間に入ってもらい一緒に仕事をしていくという新たなチャレンジ。この結果が市民に評価いただけるよう、しっかりやっていきたい」とあいさつ。
 共立メンテナンスPKP(パブリック・共立・パートナーシップ)事業本部の伊藤覚取締役本部長は「県内では初、東北でも先進的といえる取り組みとなる。経営効率化を目標に、弊社がサービス業として培ったノウハウを市民サービス向上にも生かしたい。市内に営業拠点を持ち、きちんと根を張ったうえで業務を遂行していく」と述べた。
 同社は平成22年から自治体向けの業務受託営業を始め、24年から本格的に包括的業務に取り組む。現在、福岡県篠栗町、宮崎県日南市など10自治体ほどから業務委託を受け、正職員定数削減といった行財政改革のノウハウを構築しているという。 
 市によると、同社への31年度の委託金額は1億5552万円。履行期間は30年12月27日~33年3月31日までとする。この包括業務委託と業務見直しによる初年度の人員削減効果額について、市は約7900万円と試算。35年度までの累計効果額は1億9700万円を見込む。
 同社が雇用する社員と市のプロパー職員は、新年度から同じ庁内に勤務。正職員退職者人数に対して、新規採用の正職員はそのおおむね半数とし、残り半数を包括業務委託で対応する。31年度の民間社員数は、一般行政事務5人、事務補助業務(窓口対応等)60人の計65人程度。受託人数は当面の間、年々増加するという。
 また、退職正職員、任期付き職員、福祉業務等法律的・財源的な制限がある職などを除く嘱託および臨時職員については、本人の希望と選考により、同社への転職が可能となる。これにより、最長1年の範囲で任用を行っている嘱託および臨時職員の複数年雇用が実現でき、職員の雇用の安定なども図る考えだ。
 市と同社は、「退職者や任期付き・臨時職員らの転職を基本に考え、そのうえで不足する人員を一般募集する」としている。募集の詳細は1月に発表。給与などは「現在の額をベースにする」とし、31年4月の委託業務開始までに社員研修も行うことにしている。