〝青の洞窟〟楽しんで 、「天の岩戸の滝」照明一新/住田の滝観洞

▲ 青色系の照明で立体感を引き立たせた「天の岩戸の滝」

 住田町上有住の滝観洞観光センターは、洞内最奥部にある「天の岩戸の滝」などの照明を一新した。従来の白色系から青色とすることで、自然が生み出したドーム型空間の奥行きを強調。滝観洞は、来年行われるラグビーワールドカップ2019の開催地となっている釜石市境に近く、海外からの観光客や親子連れらの来訪増に期待を込める。

 

自然空間の立体感強調

 

 全長3635㍍、高低差は115㍍にも及び、国内屈指の鍾乳洞を誇る滝観洞。内部はライトアップされた鍾乳石が輝き、ダイナミックな造形の岩肌や地下水などによる神秘的な光景が続く。
 入り口から歩いて30分ほどの880㍍地点に、高さ60㍍にも及ぶドーム型の空間が広がる。さらに、天井部の大理石の裂け目から落差29㍍の「天の岩戸の滝」が魅了する。
 洞内滝としては国内屈指を誇る絶景は、三陸ジオパークのジオサイトに指定された。また、洞内探索は冒険気分を楽しめるとあって、外国人観光客が増加傾向にある。
 洞内は常に10度前後であるため、暑くなるほど涼を求めて多くの行楽客が訪れる。冬場は逆に、外部よりも10度以上気温が高く、寒風が吹き込む入り口部分にはつららができるなど、この時期ならではの見どころは多い。
 これまで洞内で使用していた蛍光灯や白熱灯は、こけが生えやすいといった課題があったほか、交換時期も迎えていた。同センターでは省エネ効果も見据え、先月からLED化に着手した。
 「天の岩戸の滝」では足元から空間全体を照らすが、従来の白色では奥行きが分かりにくいといった指摘も寄せられていた。当面は、明るさは劣るものの岩肌の立体感が引き立つ青色のフィルムを施すことにした。
 29日は厳しい風雪に見舞われたが、県外から足を運んだ観光客も。洞内を巡った東京都町田市の清川哲之介さん(37)は「洞内巡りは、思った以上に楽しかった。新しいライトアップも、神秘的な感じがよく出ていた」と話し、笑顔を見せていた。
 滝観洞は三陸ジオパークのジオサイトとしても関心が高まっており、ウミユリの化石部分に照明を当てる工夫も。地質や化石を学びながら洞内を巡る親子連れの来訪増などに期待を寄せる。
 滝観洞は年末年始も通常通り入洞できる。問い合わせは同センター(℡48・2756)へ。