基盤整備 ラストスパート/大船渡市大船渡町・土地区画整理事業

▲ 土地区画整理事業が最終盤を迎えた大船渡駅周辺地区。左下に見えるのが現在整備中の(仮称)大船渡公園(昨年12月13日撮影)

今春に(仮称)大船渡公園が完成、オープンへ

 

 大船渡市が大船渡町の大船渡駅周辺地区で進める土地区画整理事業(対象面積33・8㌶)は、平成30年度末で基盤整備が終了する見通しだ。残るは(仮称)大船渡公園など公園3カ所と、市道茶屋前線の整備、造成工事の一部となっている。特に、大船渡公園は新たな市民らの憩い、交流の場であり、基盤整備の締めくくりを飾るもの。今春の供用開始に向け、現場では作業が進んでいる。

 23年の東日本大震災津波で、甚大な被害を受けた同駅周辺地区。市は24年に土地区画整理事業区域の都市計画を、25年には事業計画を決定し、土地のかさ上げや公共施設の再整備、用地造成などの基盤整備工事を進めてきた。
 地区内には、新たな商業施設や店舗、住宅、道路、公共施設などが順次完成。にぎわいも徐々に生まれ、市を代表する中心市街地として定着しつつある。

大船渡公園の活用イメージ図(大船渡市提供)

 大船渡公園(面積9484・89平方㍍)は、同事業によって須崎川河口付近の左岸側に新設されるもの。「彩りと仕掛けに満ちた、まち・川・海を繋げる公園」をコンセプトとしている。
 整備にあたっては、28年度に全3回のワークショップを開催し、公園に必要な機能や理念などを検討。29年度に基本設計と詳細設計を行い、30年度に着工した。
 公園の大部分は西洋芝を張った芝生広場となり、周囲にはツバキやサクラ(ジンダイアケボノ)などの四季を感じられる樹木を植栽。公園との境界部は視線を遮らないよう、低木や草木類、地被類などを植える。
 広場には最大高低差約1㍍のなだらかな勾配をつけ、イベントに対応可能な仮設の施設(ステージや屋台、テント)を設置できるスペースを確保。バーベキューも楽しめる自由度の高い空間と、洗い場も設ける。
 園路は車いすの利用なども想定し、自然石やレンガタイル、木調タイルなどで舗装。園路沿いを中心に、ベンチ10基やソーラー照明灯8基を配し、テーブルとベンチ付き、ベンチのみと2種類のあずまやも設置する。
 トイレは男性用(大小計3基)、女性用(2基)、多機能トイレ(1基)を備える。夏の暑さ対策として、ミストポールも取り入れる。

昨年10月の1日限定プレオープンでは、子どもたちが遊具で思い切り遊んだ

 公園北西のあずまやとトイレの中間には、遊具広場を開設。昨年10月、東京都のNPO法人プレイグラウンド・オブ・ホープと、静岡県のジヤトコ㈱が寄贈、設置した大型遊具のほか、大型アスレチック遊具・ザイルクライミングとすべり台(モーグルヒル)、幼児向けのスプリング遊具(4基)が整備される。
 駐車場は、北側と北東側に合わせて13台分(うち身障者用4台)を確保している。
 公園の工事は、整地作業や園路、トイレ、遊具などの主な施設整備が昨年内にほぼ完了。一般公募をした公園の正式名称は、年度内に決定、発表となる見通しだ。
 今後は今月中に、震災遺構となる一里塚、茶々丸パーク時計塔を一時保管場所から移設。3月には芝張りや植栽の作業を行い、完成となる。供用開始は31年度を予定する。
 事業区域内のJR大船渡線から山側では、茶屋前公園(面積1707平方㍍)と笹崎公園(同1290平方㍍)の整備も進む。どちらも遅くとも31年度初めごろの供用開始を見込んでいる。

 ハード事業の基盤整備は、3月末までには終了の見通し。31年度からは換地処分、清算といったソフト事業に入る。市は基盤整備の完了に合わせ、第4期まちびらきを行う考えだ。
 一方で、市が取りまとめた事業区域内における土地の利活用状況(昨年9月末現在)では、地権者らの意向が「未定」の土地が全体の25%(165筆5万3800平方㍍)あることが分かり、新たな課題となっている。
 戸田公明市長は「できるだけ早く、しかも復興創生期間の間に100%残っている土地を使っていただきたい。そのためにも、地権者と希望事業者とのマッチングなどの取り組みを強化していきたい。復興計画期間終了までの2年3カ月の間に何とか土地を活用することが、なりわいの再生にもつながってくる」と話している。