市整備の地域振興施設に期待高まる、道の駅・高田松原 今夏開業へ/陸前高田(35㌻へ続く)

▲ 施設となる(平成30年12月撮影)

 国・県・市が連携し、陸前高田市に整備が進められている高田松原津波復興祈念公園。公園全体の供用開始は平成32年度内だが、同園内に建設中の新「道の駅・高田松原」(気仙町字土手影地内)は先行して今夏の開業を予定する。県の管轄である震災津波伝承館が同一施設内に開設され、東日本大震災の津波の事実と教訓を伝承する拠点になることはもとより、三陸沿岸地域を訪れる人々の〝ゲートウェイ(玄関口)〟として、地域・観光情報などを発信する役割も担う。市が整備する地域振興施設は震災前の物産館にあたるもので、昨年11月に入居テナントが決まった。現在、関係者が震災前の道の駅にはなかったような魅力、新しい機能の創出に取り組んでおり、同駅のオープンは来訪者拡大などの面に絶大な効果があると期待されている。

 

 

旧・道の駅高田松原(タピック45)は──

平成5年に「道の駅」認定されたかつてのタピック45。現在は震災遺構として残される

 

 道の駅は、地域の創意工夫により道路利用者に快適な休憩と多様で質の高いサービスを提供する施設。平成5年から認定制度がスタートし、気仙地区では陸前高田市の「高田松原」のほか、住田町の「種山ケ原」、大船渡市の「さんりく」の3駅が登録される。

以前の高田松原物産館

 このうち「高田松原」はもともと、市が3年度に総合観光案内所「タピック45」として高田町の国道45号沿いに開設。認定初年の5年度に県内初の道の駅として登録され、道路情報・地域観光情報提供システムのほか、七夕体験コーナーなどからなる観光インフォメーションセンターと、イベント広場、野外ステージなども設置された。
 東日本大震災で被災する前の物産施設は14年11月、「高田松原物産館」としてタピック西側にオープン。木造平屋建て、延べ床面積881平方㍍、アーケード部の面積が280平方㍍で、車いすでも移動できる連絡用通路がタピックから物産館まで整備されていた。 

物産館内には陸前高田の産品がどっさり

 館内は農水産物を直売するスペースと商業スペースに分かれ、地元産の新鮮な農産物や生鮮魚介類、海産物など物産販売とレストラン、軽食堂、菓子・パン工房など市内7店舗が入居していた。
 施設全体の約4分の1のスペースを占めるレストランは、地場の食材を活用した陸前高田ならではのメニューを提供した。駐車場は複数の大型バスにも対応。店内には観光バスの運転手らが休憩できる控室も用意され、海水浴客が訪れる夏の観光シーズンを中心ににぎわった。
 また、新鮮な食材を求めて地域住民も利用。市産業まつりとタイアップしたイベントが開かれるなど、さまざまな催し会場としても利用され、市民が日常的に足を運ぶ場所でもあったが、すべての施設が大震災の津波直撃を受けた。唯一残ったタピックの建物は、同市の震災遺構の一つとなっている。

イベントも多数開催されていた