少年らのプレー見守る、引退表明した小笠原さんがサッカー大会に運営協力者として参加/大船渡で(別写真あり)

▲ 少年らのプレーに目を向ける小笠原さん(左から2人目)

 一般社団法人「東北人魂・岩手グラウンドプロジェクト」(今野当代表)による少年サッカー大会「ウィンターカップ2019」は5日、大船渡市の赤崎グラウンドを会場に2日間の日程で開幕した。大会には、震災後に同グラウンドの整備に尽力した一人で、昨年末に現役引退を表明したサッカー元日本代表・小笠原満男さん(39)=鹿島アントラーズ、大船渡高卒=も大会運営の協力者として参加し、少年選手らのプレーを見守った。

 

「今後も恩返しを」

 

 盛岡市出身の小笠原さんは、東北出身のJリーガーらでつくる「東北人魂を持つJ選手の会」(以下、東北人魂)の発起人の一人。東日本大震災後、赤崎グラウンドの整備をはじめ、サッカーに関わるイベント開催やチャリティー活動などで何度も被災地に足を運び、復興を後押ししている。現役引退の表明時は、各地から惜別と感謝の声が上がった。
 同法人は、小笠原さんの呼びかけに応じ、大船渡高出身者らで創設。東北人魂などからの後押しと数々の支援を受け、平成25年に旧赤崎小の被災跡地を仮設グラウンドとして整備した。
 その後、同グラウンドは人工芝化の工事が行われ、29年12月にプレオープン。翌年1月には、人工芝となってから初のサッカー大会として、第1回ウィンターカップが開催された。
 第2回の今大会は、大船渡市のFCサン・アルタス大船渡のA、B2チームと大船渡三陸FCシーガルを含む東北と茨城の計12チームが出場。初日は2グループに分かれての総当たり戦が行われた。
 小笠原さんはこの日、運営の協力者として参加。茨城から出場した鹿島アントラーズFCサッカースクール選抜チームのベンチに立ち、真剣勝負に挑む小学生選手らのプレーを見守った。
 気仙のサッカー関係者によると、ウィンターカップのように、冬季に県内外からチームを集め催す大会はこれまでなかったという。同大会の開催は、東北人魂などの「雪の少ない大船渡に人工芝グラウンドを造ることで、内陸や県外と沿岸の交流を促進し、選手の技術強化につなげたい」という思いが具現化したものの一つ。
 サン・アルタスの池田淳監督(50)は「普段は呼ぶことのできないチームの誘致など、小笠原さんや関係者の方々の力があってこの大会が生まれた。すばらしい環境に感謝。今後もサッカー好きの子どもたちを増やし、プロを目指せるような選手の育成にも力を入れて、みなさんの思いに応えたい」と力を込める。
 小笠原さんは「今ある環境は、グラウンド整備で実際に汗を流した人たちや地域のみなさんが頑張ってつくりあげたもの。年中使えるグラウンドが子どもたちの成長を促し、目標に向かって頑張れる選手がここから生まれてほしい」と期待。
 また、「自分はプロを辞めるが、今後も、高校3年間でお世話になったこの地域に恩返しをしたい。就学前の子どもたちや、スポーツが得意じゃない子どもたちにもサッカーの魅力を伝える場をつくりたい。岩手の希望となるような人を生むきっかけをつくっていければ」と先を見据えていた。
 大会2日目は順位決定戦を展開。試合開始は午前9時30分からで、決勝は午前11時からの予定。
 正午からは、同大会内で選抜された選手らでつくるチームと、東北人魂の選手らによる特別試合も行う。