世代超えた交流の場に、住高内の「放課後の学び場」
平成31年1月6日付 1面
設置から3カ月
住田町教育委員会が県立住田高校(鈴木広樹校長、生徒87人)の研修会館内に開設している「放課後の学び場」は、利用する生徒数が増加傾向にあるなど好調に推移している。町採用の教育コーディネーターをはじめとしたスタッフに加え、町職員も頻繁に訪れて生徒たちと会話を交わし、世代を超えた交流の場になりつつある。町教委は今後も、社会人が進路面などでアドバイスできる機会の創出や、資格取得などを後押ししながら有効活用を図る。
利用生徒が増加傾向
放課後の学び場は、昨年10月15日から利用がスタート。同校敷地内にあり、バス停留所にも近い研修会館を活用している。インターネットに接続できる「Wi―Fi(ワイファイ)」も完備した自学自習スペースに加え、くつろぎながら生徒やスタッフらと談笑ができる部屋も設けた。
昨年は月~木曜日を中心に、授業後の午後4時から開設。町教委によると、1日平均利用者は12人で、累計では500人を突破した。11月のテスト前には30人近い生徒が訪れたほか、冬期間は暖をとりながら過ごせるとあって、利用者数は増加を続ける。
3年生の伊藤優花さん(18)=有住中出身=は「バスの待ち時間や、親が迎えに来るまでの時間を過ごすことが多い。学校とは違った雰囲気で、友達やスタッフと話すのが楽しい。これからもイベントがあったりすれば、多くの生徒が足を運ぶと思う」と話す。
利用時間内は町が採用した教育コーディネーターのほか、世田米商店街で「寺子屋」として学習支援を行っているスタッフ、専門学校での就職支援経験がある町在住者らが手分けをして常駐。さらに、町職員有志も支援にあたる。
週1、2回のペースで訪れ、生徒たちと交流を深める町保健福祉課の紺野達夢さん(23)は「最初は自分自身の興味本位で行ってみたが、普段あまり交流する機会が少ない年代の生徒たちと幅広い話題となり、普段の業務では得られない刺激がある。今後も自分が大学時代に得た経験などを伝えられれば」と語る。
会館内では、宿題を済ませる生徒だけでなく、入学願書の記入などでスタッフにアドバイスを求める光景も。スタッフも「一問一答」の問いかけで生徒たちとコミュニケーションをとるほか、目に付きやすい掲示物などでも工夫を重ねる。英検をはじめ、各種資格取得の後押しにも力を入れている。
今年の開設は祝日・休日を除く毎週月~木曜日で、今月は7日(月)から始まる。10日(木)までの冬休み期間中は正午~午後6時で、始業式後の15日(火)以降は、同4時~7時30分に開設。申込書に記入した同校生が利用できる。
同町内には大学や専門学校がなく、高校卒業後は多くの若者たちが地元を離れる。学び場は、20代前後の〝人生の先輩〟から生の声を聞く貴重な場になりつつあり、多世代交流など住田高校の新たな魅力づくりにつながる可能性を秘めている。