防火・防災の士気高く、3市町で消防出初式/気仙(動画、別写真あり)

▲ 威勢の良い纏振りを披露する団員ら

 安心安全守る意気込み示す/大船渡

 

 平成30年度大船渡市消防出初式は6日、盛町の盛町商店街とリアスホールで行われた。消防団員らが恒例の纏(まとい)振りや分列行進を披露し、詰めかけた大勢の市民の前で、まちの安全と安心を守る意気込みを示した。
 出初式は、市内の消防関係者が一堂に会し、防災の第一線に立とうとする心構えを新たにする恒例行事。今年も、同商店街で纏振りや分列行進、リアスホールで式典が行われ、市消防団員のほか、大船渡消防署、三陸分署、綾里分遣所の消防署員ら約700人が出動した。
 団員らの勇姿を一目見ようと、市民らが詰めかけた同商店街では、市消防団の纏組(菊地誠組長)が粋で威勢の良い纏振りを披露。続いて、ラッパ隊(葉澤靖幸隊長)の演奏が鳴り響く中、消防職・団員、婦人防火クラブ、消防車両が行進。さっそうと歩く姿に市民から盛大な拍手が送られた。
 会場には、市による参観に応募した市内小学生の姿も。児童の参観は、市民の意識向上や消防団への参加意識高揚につなげようと、市が昨年から実施している。
 姉の千葉祐子さん(24)が消防団員という逢里さん(綾里小4年)は「纏は重そうだったのに、頑張って振っていて、すごかった。消防団員の姉は格好良いので、自分も大人になったら団員になりたい」と話していた。
 リアスホールでは、東日本大震災での消防殉職者や犠牲者への黙とうのあと、統監の戸田公明市長が「自らの地域は自らで守るという義勇・愛郷の精神のもと、防災力をより強固にし、災害に即応していくことを期待する」とあいさつした。
 また、大船渡地区消防組合の村上芳春消防長は「住民の生命、身体、財産を守るのが防災に携わる者の目的。消防団との連携を密にし、危機管理体制の強化に努めていきたい」と諭告。 
 市消防団の新沼哲団長は「住宅火災無火災を目指すため、市民への予防消防の協力呼びかけに精励してほしい。義勇と愛郷は消防団の原点。崇高な精神のもと、より一層の精進をお願いしたい」と訓示した。
 このあと、所轄管内で無火災を達成した分団や、長年の活動に尽力した纏組員、ラッパ隊員を表彰。来賓の熊谷昭浩市議会議長、田村誠県議、及川雅人大船渡警察署長からは、それぞれ祝辞が贈られた。
 さらに、ラッパ隊によるドリル吹奏や纏組の纏振りが披露されたあと、三本締めで今年一年の地域安全と火防を祈願した。
 表彰者次の通り。
 【無火災分団表彰】
 ▽4期間=3分団
 ▽1期間=8分団
 【纏組員表彰】
 ▽功労証=鈴木直(3分団)笹野隼人(9分団)
 ▽功績証=千葉史裕(5分団)高橋康則(6分団)千葉文弥(7分団)稲澤慎也(同)大久保学(10分団)中村崇嗣(11分団)白木澤朋宏(12分団)
 【ラッパ隊員表彰】
 ▽功労証=菅生旭(8分団)久保将彦(12分団)
 ▽功績証=田村優典(6分団)大澤伸也(5分団)新沼新(10分団)

 

 

 

 災害に強いまち実現を/陸前高田

 

勇ましい行進を見せる団員たち

 陸前高田市の消防出初式は同日、高田町内で開かれた。冬晴れのもと、団員たちの市内行進が繰り広げられ、多数の市民が観覧。式典では、精力的に活動にあたった団員に対する特別表彰も行われ、出席者が今年も予防消防などに努めていくことを確かめ合った。
 市消防団(団員631人)のうち359人と消防職員、来賓ら合わせて約400人が参加。各部の車両計35台も一堂にそろい、市消防防災センターから式典会場の高田第一中まで、河野吉昭団長を先頭に分列行進が行われた。
 団員たちは、気温0度台の厳しい寒さの中、りりしく闊歩。その勇姿を見ようと沿道には多くの市民が集まり、手を振ったりカメラで撮影するなどした。
 式典では、河野団長が昨年発生した全国の大規模自然災害を振り返ったうえで「幸いにも当市においては大きな災害もなく、火災も10件と少なかった。これも予防消防活動のたまもの。『自分たちのまちは自分たちで守る』という精神のもと、市民が安心して暮らせるよう、災害に強いまち実現に向けてさらなる努力を」と訓示。
 統監の戸羽太市長は、「素晴らしい行進を拝見し、心強い気持ちになった。自然災害は無理でも、火災であれば個々の注意によって防ぐことができる。火事で悲しい思いをする人がいないよう、市民にとって素晴らしい一年となるようご尽力いただきたい」と団員たちを鼓舞し、市消防本部の平立身消防長は「地域と一体となった防災力の向上が重要」と告辞した。
 この日は、団長特別表彰として、昨年の県消防協会気仙地区支部消防操法競技会の自動車ポンプの部と小型ポンプの部でそれぞれ優勝した横田分団第2部と気仙分団第4部に優秀成績賞、消防団活動に尽力した8人に優良賞が贈られた。
 優良賞受賞者は次の通り。
 上部徳也(高田分団)合口潤(気仙分団)菅野正隆(広田分団)藤原秀平(小友分団)菅野丈樹(米崎分団)菅野将(矢作分団)佐藤和男(竹駒分団)泉田雄一(横田分団)

 

 新たな一年へ「火の用心」/住田

 

式典出席者全員で「火の用心」を三唱

 住田町の消防出初式は、世田米で行われた。地域住民らが見守る中、団員らが底冷えの商店街を威風堂々と分列行進。農林会館での式典では、統監や団長らから年頭のあいさつを受け、今年一年の無火災への誓いを新たにした。
 式には町消防団から180人、婦人消防協力隊から125人、大船渡地区消防組合住田分署から14人が参加。天照御祖神社での無火災祈願後、県立大船渡病院住田地域診療センター駐車場から分列行進を繰り広げた。
 ラッパ隊の演奏が響き渡る中、団員たちはきびきびとした動作で行進。沿道では地域住民らが拍手を送ったほか、子どもたちは後に続く消防・救急車両21台の列にも憧れのまなざしを向けた。
 農林会館で開かれた式典では、統監の神田謙一町長が「安全・安心に暮らせる生活は、住民の根幹。防災のリーダーとして、町民や地域の結集を」とあいさつ。
 消防団の泉田義昭団長は一昨年、昨年と火災で犠牲者が出ている状況にふれながら「予防、警戒活動を怠りなきように。消防を取り巻く環境は多様化、複雑化している中、住みよい郷土にするために対応力を積み重ねていく決意」と訓示した。
 無火災表彰では、3年間達成の第5分団、2年間達成の第3分団、1年間達成の第6分団と第4分団にそれぞれ泉田団長が竿頭綬などを授与。婦人消防協力隊無火災地区隊として、3年間の上有住、2年間の大股、1年間の五葉と下有住も表彰を受けた。最後は全員で「火の用心」を三唱し、無火災を誓った。