言葉とカクテル味わう、キャッセンのマチコヤ第2弾「物語を飲む会」/大船渡(別写真あり)

▲ 物語を読み深め、佐藤オーナー㊨からカクテルの作り方を教わる参加者ら

 大船渡市大船渡町の㈱キャッセン大船渡(田村滿社長)による店舗連携企画「マチコヤ」は11日夜、キャッセン・モール&パティオ内の「(Another World Bar)KEIJI」で開かれた。「物語を飲む会」と題し、参加者らが童話を読み深め、物語の世界をイメージしたカクテル作りに挑戦。一つ一つの言葉とオリジナルカクテルを味わい、交流を深め合った。
 マチコヤは、キャッセンのテナント同士が連携企画を考え、地元住民らに生活が豊かになる季節のライフスタイルを提供する場。昨年9月に初開催した。
 第2弾となった今回は、同年11月からキャッセンでインターンシップ中の弘前大学大学院・教育学研究科1年の垣内雅仁さん(23)=茨城県出身=が企画、運営を担当。「書店」と「バー」の組み合わせで「ブックポートねぎし本店」と「KEIJI」が連携した。
 この日は市民ら5人が参加し、KEIJIの佐藤圭二オーナー(39)と、ブックポートねぎし本店の木村寛子店長(39)が講師を担当。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』と新美南吉の『手袋を買いに』を取り上げ、それぞれの物語を読み、オリジナルカクテルを作って試飲した。
 会場では、各作品をイメージしたイラストなどを飾り、朗読を収録したアニメーション映像を上映。参加者らは木村店長からアドバイスを受けながら、それぞれの童話をじっくりと読み進め、色や光、香りなどの表現を拾ったり、物語のイメージを膨らませた。
 続いて、佐藤オーナーから作り方を教わり、各物語にちなんだカクテル作りに挑戦。ベースとなる蒸留酒や多彩なリキュール、ジュースなどの材料を組み合わせ、イメージに合わせた味、色のカクテルに仕上げた。
 『銀河鉄道の夜』では、「銀河ステーションに到着したときの印象を表現した」「赤いサソリが出てきたので、赤と宇宙の青をイメージした」などと参加者が一人一人作ったカクテルと名前を発表。中には、佐藤オーナーからお墨付きをもらった一杯もあった。
 参加者の一人は「幼いころに読んだ作品をまた読んで童心に帰れた。物語を読んでお酒を作るのが発想的に面白い。別な本でまた開催してほしい」と笑顔。
 木村店長は「皆さんが作品をどう思っているかを聞けて楽しかった。こうした連携は、ほかの店の方々と話す機会にもなる。また取り組んでみたい」と、佐藤オーナーは「面白かったし、新しい発見、今後へのプラスの要素になった。他店との連携は、これからもやっていきたい」と話していた。
 垣内さんは「集客に課題もあったが、内容自体は本当によかった。本をじっくり読み、カクテルの奥深さや難しさを体験できるいい機会になった。これを機に、さらにキャッセンを利用してもらい、ほかの方々にも派生していけば」と充実した表情を見せていた。