「住み替え」実態把握へ、初の住民アンケート実施/住田町

▲ 来年度中の住生活基本計画策定を見据え、住宅確保に至った経緯などについて聞くアンケートを実施している住田町

 住田町は現在、5年以内に町内に転入してきた移住者や、町内で住み替えを行った住民らを対象に初のアンケートを行っている。新年度中に住生活基本計画を策定する方針で、計画に盛り込む移住・定住策の推進に向け、どのような手段で住宅を確保したかや、転入時や住み替えで苦労したことなどを質問。町内には不動産業者がなく、人口減少対策が喫緊の課題となっている中、より実行性のある空き家の活用策などを固める。

 

 移住・定住推進見据え

 

 一昨年8月に発足した神田町政は、「医・食・住」を強調。住宅政策に関しては、新たに計画をつくり、子育て世代や高齢者の視点に立ったより良い住まいのあり方をまとめる方針を掲げてきた。
 町の人口は現在5500人余りで、年間100人ペースで人口が減少。空き家や高齢者のみの世帯の増加が予想され、住民が不安なく過ごせる住まいのあり方が重要視される。
 住環境をみると、他市町村と比較して民間の賃貸住宅が少なく、増えつつある空き家も借り手側と貸し手側の希望が合わず、利用状況は低調。移住・定住希望先では、公営住宅の役割が大きい。
 現在、町営住宅は一般住宅129戸、特定公共賃貸住宅等が55戸の計184戸あり、それぞれ入居基準として収入や家族構成などが定められている。木造の戸建て型が多く、住みやすさなどに高い評価が寄せられる一方、入居者の居住年数が長く、ほとんど空きがない状況が続く。
 さらに、町内には不動産業者がおらず、個人同士でのやり取りにも難しさを抱える。相談対応にあたる町としても、空き家バンク登録以外の空き家物件や農地紹介には限界がある。
 居住相談は、町外在住者だけでなく、町民からも寄せられる。町民の相談では、結婚を機に新たな住居に暮らしたいと考えているケースが多いといい、こうした層への支援充実は、町内の人口減少対策にも大きく影響する。
 町では、転入や住み替えに至ったきっかけや満足度などを調査し、今後の移住・定住推進策につなげようと、初のアンケート調査を実施。先月14日現在で過去5年以内で町外から転入してきたか、または町内で住所変更をした世帯主約100人を対象としている。
 アンケートでは住み替えの理由に加え、現住居を「どのようにして見つけたか」を質問。居住先に対してどの程度満足しているかやその理由に加え、転入や住み替えで苦労したことも尋ねる。
 回答は25日(金)まで。郵送された所定用紙での記入だけでなく、ホームページからでも回答できる。
 町は同期間に実施する「町人口ビジョン・総合戦略・総合計画」事業評価等のアンケート結果とも合わせ、町の相談体制のあり方、ライフステージに合わせた町内移住の需要がどれくらい見込めるかなどを把握する方針。計画策定には、東京大学大学院工学系建築学専攻教授の大月敏雄氏が研究協力として入り、同氏研究室の学生らによる調査活動の内容も反映させる。