清拭タオルを製作、「放課後の学び場」で/住田高校の生徒

▲ 手縫いで「清拭タオル」を作る生徒たち

 住田町教育委員会が県立住田高校(鈴木広樹校長、生徒87人)の研修会館内に開設している「放課後の学び場」で、利用する生徒たちが高齢者の介護時などに使われる清拭(せいしき)タオルの製作に取り組んでいる。布を折り重ね、奉仕の心を込めて針を動かしながら、ボランティアへの意識を高める生徒たち。出来上がったタオルは来月、同町の特別養護老人ホーム・すみた荘に贈られる。

 

 手縫いに込める奉仕の心、福祉施設に寄贈へ

 

 清拭タオルは、入浴などが難しい人の身体を拭く際に用いられる。製作時には、各方面から寄せられる手ぬぐいなどを折り重ね、縫い上げる「ひと手間」が必要という。10年ほど前から、同町のヘルスサポートの会・運動教室のメンバーや町保健推進員らが手縫いで製作し、すみた荘に届けてきた。
 住田高校内の放課後の学び場は、昨年10月15日から利用がスタート。同校敷地内にあり、バス停留所にも近い研修会館を活用している。自学自習スペースに加え、くつろぎながら生徒やスタッフらと談笑ができる部屋も設けた。
 月~木曜日を中心に、授業後の午後4時から開設。この取り組みを知ったヘルスサポートの会員らが「住田高生は、『森の保育園』事業などでボランティアを積極的に行っている。息抜きの時間を利用し、高齢者に役立つ活動をやってくれるかもしれない」と、白い布を提供した。
 先月から少しずつ製作の輪が広がり、生徒たちが自主的に参加。4~5時は部活動を引退した3年生の利用が中心で、6時以降は部活動を終えた1、2年生が多く訪れる。
 滞在は1時間前後といい、自学自習を終えた後のわずかな時間などを利用して、黙々と手を動かす。3年生が途中まで縫った布を1、2年生が引き継ぐといった〝リレー〟もみられ、一日数枚ペースでタオルを完成させている。
 ヘルスサポートの会の吉田榮子会長(71)は「最初は女子生徒だけかなと思っていたが、運動部の男子生徒もやっていると聞いて、驚いている」と話す。15日夜も、部活動を終えた男子生徒数人が訪れ、手縫いを続けた。
 バスケットボール部に所属する2年生の菅野龍君(17)は「裁縫は中学校の授業以来で難しいが、使っていただく以上は、丁寧に作らないと」と話していた。
 現在、完成したタオルは約30枚。ヘルスサポートの会・運動教室や保健推進員が製作した分と一緒に、来月中にすみた荘に寄贈することにしている。