「泣くワラシいねえがー」、吉浜で伝統行事スネカ/大船渡(別写真あり)
平成31年1月17日付 1面
大船渡市三陸町吉浜に伝わる小正月行事「スネカ」は15日夜、吉浜各地で行われた。昨年11月に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されて以降、初めて行われた今回のスネカには、吉浜スネカ保存会(柏﨑久喜会長)のメンバーや地元中学生らが参加。奇怪な形相のスネカに扮(ふん)して家々を訪ね歩いては、声を張り上げながら子どもたちの怠けをいさめ、健やかな成長や豊漁、五穀豊穣(ほうじょう)を願った。
文化遺産登録後初
この日は、同保存会のメンバーや吉浜中生徒合わせて24人が、スネカに扮して吉浜の約300世帯を訪ね歩いた。
このうち、菊地健悦さん(69)宅では、長女の美智子さん(36)と孫の結依ちゃん(4)、親戚の村上美久さん(35)、村上さんの長女・心都ちゃん(2)らが団らんを楽しんでいるところにスネカが登場。
「泣くワラシいねえがー」などと大声を張り上げながら、恐ろしい形相のスネカ2体が現れると、たまらず逃げようとする結衣ちゃんと、泣き出す心都ちゃん。さらにスネカに詰め寄られると、2人とも「いい子にします」と約束していた。
村上さんは、「怖かった…」とつぶやく心都ちゃんを見ながら、「自分の子どものころは怖かったけど、今は吉浜の風物詩と感じる。子どもの教育にとっても良いと思うので、これからもずっと続けてほしい」と話していた。
「奇怪なもの」「えたいの知れないもの」とされるスネカは、子どもや怠け者をいさめる一方で、里に春を告げ、五穀豊穣や豊漁をもたらす精霊ともいわれる。
冬の間、足に赤いまだら模様の斑点ができるほど、いろりのそばで怠けている者のスネの皮を剥ぐという「スネカワタグリ」が語源とされ、江戸時代から約200年にわたって続けられていると伝わる。
平成16年に国の重要無形民俗文化財に指定。昨年11月には、「来訪神:仮面・仮装の神々」として、全国7県9件の来訪神行事とともにユネスコの無形文化遺産に登録された。
スネカ保存会の柏﨑会長(69)は「最近では、高校生や20代の若者が(スネカを)手伝ってくれるようになってきたし、スネカを誇りに思ってくれる中学生も多い。これからも吉浜の風習として続けていきたい」と力を込めていた。





